今からちょうど10年前の2011年4月24日に放送が開始された「マルモのおきて」。阿部サダヲと撮影当時6歳だった芦田愛菜、鈴木福に加え、愛らしい犬・ムックが織りなす温かな空気感があり、後に2回にわたってスペシャルドラマが制作されるほど大きな人気を博した家族ドラマだ。
ドラマが放送された当時は東日本大震災の直後で日本全体が暗澹たるムードに覆われていたが、"絆"という言葉が頻繁に用いられ、人と人との結びつきが改めて見つめ直されるタイミングだった。そんな状況において、血の繋がりはなくとも互いを支え合う3人と1匹の心温まる日常に、勇気づけられたという人も多かったのではないだろうか。
10年間という時を経て、フジテレビTWOにて再放送がスタートする「マルモのおきて」(5月17日より放送)は、独身アラフォー男性の主人公・高木護(阿部)が、突然この世を去った親友が残した双子の姉・薫(芦田)と弟・友樹(鈴木)を引き取り、拾ってきた犬のムックと共に"にせものの家族"として生活を送る...というストーリー。
幼い双子に振り回されながらも、一緒に寝起きし、同じご飯を食べ、共に時間を過ごすうちにいつしかホンモノの家族になっていく...。不慣れな生活にトラブルが続出する中で、泣いたり笑ったりしながら、賑やかな毎日を送る3人の姿が描かれる。
血の繋がりのない家族という題材ではあるが、ポジティブなメッセージと共に描いているという点が本作の大きな魅力の一つ。特筆すべきは、人間の言葉を喋るミニチュアシュナウザーのムックの存在だ。両親をなくした幼い双子を優しく見守る一方で、親代わりとなる護には厳しく、時には励まし、時には説教をすることもある頼もしい相棒となっていく。
また、犬が話し始めたと自分の精神状態を疑う護役の阿部とのコンビも抜群で、"完璧な父親"とは程遠い彼の不器用さが時に笑いを生み、時にホロリとさせられる...。幼い双子と同じ目線であろうとする愚直な護の姿は、多様化する「家族の在り方」を肯定するかのように、見るものにも安心感をもたらしてくれる。
また、本作を語る上で外せないのが名子役2人の抜群の演技だ。共に2004年6月生まれで誕生日が6日違いの芦田と鈴木は、本物の双子のように愛らしく、護のことを間違えて「マルモ」と呼ぶさまは無邪気そのもの。それでも、親を失った直後の寂しさ、健気さも漂わせながら、大人たちの顔色を伺って気を使う様子など、子どもならではの微妙な仕草まで完璧に演じてみせた。
さらに、ドラマのエンディングで歌い踊った「マル・マル・モリ・モリ!」では、その愛らしいダンスが大流行。勢いそのままに年末の紅白歌合戦にも出場...と、まさに社会現象といえる活躍ぶりだった。
本作で阿部と共にW主演を務めた芦田は、その後もハリウッド映画『パシフィック・リム』(2013年)や、「明日、ママがいない」(2014年)といった作品で大きな飛躍を見せたのは周知の通り。16歳となった今も、学業と並行しながら多数の番組やCM出演と活躍を続けているが、原点とも言える本作を見れば、"10年"という月日の流れと共に、その成長ぶりもより実感できるはずだ。
文=HOMINIS編集部
放送情報
マルモのおきて
放送日時:2021年5月17日(月)12:10~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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