林遣都が映画『犬部!』の撮影を振り返る「みんな顔が緩んでたと思います(笑)」

――ここからは、俳優・林遣都に迫っていきたいと思います。一人三役を演じられたドラマ「世界は3で出来ている」も印象的でしたが、演じる役によってまったくの別人になる林さんの、役作りの極意を教えてください。

「いつからか、そういった作業をすることが自分のやりがいになっていて。一つの役をいただく上での責任感のようなものは、どんどん強くなってきています。ひたすら人物のことを考えて、どこまで向き合えるか...。それをずっと考えていくうちに、役の気持ちになっていくというか。けっこう、単純な作業です(笑)」

――撮影期間中は、役に入ってしまうタイプですか?それとも完全にセパレートできるタイプですか?

「切り替わる方だと思います。いつでも素の自分に戻れるよう、ベースのようなものを撮影に入る前までにしっかりと自分の中に築いておきます。役でい続けるとくたびれてしまうこともあるので、私生活も同じように大事にしながら過ごしています」

――役者として、達成感を得るのはどんな時ですか?

「見ていただいた方の言葉に救われています。今はいろいろな手段で、誰かが喜んでくれた、誰かの人生に影響を与えた...そういう言葉を見ることができるので。そう言っていただける方が一人いるだけで救われますし、達成感を覚えます。例え心ない言葉があったとしても、伝わっている誰かがいれば、『間違いじゃなかったんだ』と思えます」

――仕事をする上で、心がけていることはありますか?

「常識のある人間でいたいです...(笑)。人に対しても仕事に対しても。あとは、撮影現場では壁をなくすということです。『世界は3で出来ている』を撮影したときは、コロナの世の中になって、『自分たちの仕事はどうなるんだろう』と不安になった時期でした。これまでとはだいぶ違う環境下の撮影の中で気付けたことは、『俳優は一人で出来るものではない』ということでした。

役作りもさまざまな人の力が集結して、人物として映像の中で命を吹き込まれる。だから、撮影現場ではスタッフさんとの壁をなくして、意見交換するということを、より意識的にするようになりました」

――では最後に、改めて映画『犬部!』の見所を教えてください!

「一番見ていただきたいのは、先ほどもお話しさせていただいた動物たちの愛くるしい表情がたくさん散りばめられているところです。見ていただくと純粋に心が潤うのではないかと思います。

そして、獣医さんたちの生き様です。「誰かのために」を軸に生きている人たちの人生は、すごくカッコよく美しいものであることを僕自身も映画を見て感じました。この作品で訴えていることは、動物だけの問題ではなく、社会のさまざまな問題に通じると思います。

ささやかな幸せをしっかり感じて、自分だけではなく、誰かのことを思って生きていけば、少しずつ変わっていく、そういう思いが伝わればいいなと思います」

文=坂本ゆかり 撮影=中川容邦

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映画情報

犬部!
出演:林遣都、中川大志ほか
7月22日(木)公開

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