生徒の死の真相を"学校内裁判"で明らかにしていく、宮部みゆき原作のミステリー「ソロモンの偽証」がWOWOWでドラマ化される。大人たちの思惑に翻弄されながらも真実に迫る女子高校生・藤野涼子を上白石萌歌さんが演じる。
「映画版('15年)は中学生ならではの心の繊細さや葛藤が描かれていて、当時、すごいものを見たなと思ったのを覚えています。それが今回、中学から高校に舞台が変化し、傷つきやすくて孤独を感じやすい高校生が主人公になることによって、より"真実って何だろう?"という問いが強くなった作品になっていると思います」
涼子は"学校内裁判"を主導し、検事という立場で冷静に真相を明かしていく。
「本物の裁判の空気感を生かせたらと思い、裁判所に足を運んで裁判を傍聴してきました。実は以前、別のドラマで被疑者の役を演じた時も見に行ったのですが、今回は検事の方を中心に見ているとまた違った印象で...。検事は誰よりも冷静で正確でなければいけないと、改めて感じました。ドラマではよく自分を奮い立たせて検事が言葉を発していますが、どちらかというと調べてきたことを淡々と読み上げているのに近いんですよ。そこを意識しながら、人のお芝居をきちんと受け取って反応しようと思い演じていました」
映画版を見た時から、涼子という役は自分に近しいと感じていたという。
「私も責任を必要以上に感じてしまったり、周りの期待に応えたいと思って、自分で自分に圧をかけてしまうところがあるんです。そういうところは涼子も同じような気がします。私は役に入るとき、その人はどんな文字を書いているのか、どういう部屋に住んでいるのか...など、脚本に書かれていない部分を連想ゲームのように想像することを必ずしています。涼子に関しては、部屋のクッションは無地でシーツはよく洗っている、すごくきれいで知的な字を書くんだろうなと想像していました。その妄想が涼子を演じる際に役に立ったと思います」
WOWOWのドラマ「分身」('12年)で女優デビューしてから来年で10年。
「当時は小学生で緊張もせずにただ楽しかった記憶なんですが、今回は作品に入る前からプレッシャーに包まれて...。そんな重圧を感じられたのは、自分がきちんと作品に向かい、責任を持ち、いい作品にしたいという気持ちがあるからこそ。そう考えたらこの10年で自分でも成長したような気がします。難しい題材の作品ですが、私なりの涼子としてのまなざしを感じていただけたらと思います」
かみしらいし・もか●'00年2月28日生まれ、鹿児島県出身。'12年に「連続ドラマW 東野圭吾『分身』」(WOWOW)で女優デビュー。「3年A組-今から皆さんは、人質です-」('19年)や「教場」('20年)など話題作に出演。'22年放送予定の「ちむどんどん」でNHK連続テレビ小説に初出演。
撮影=大川晋児 取材・文=玉置晴子
スタイリスト=道端亜未 ヘアメーク=冨永朋子(アルール)
放送情報
連続ドラマW 宮部みゆき「ソロモンの偽証」
放送日時:2021年10月3日(日)22:00~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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