相棒役の志尊淳も魅力的!吉川晃司が名探偵「由利麟太郎」を演じたホラーミステリー

志尊淳
志尊淳

日本が誇るミステリーの作家・横溝正史と言えば、名探偵・金田一耕助があまりにも有名で、数多くの映像化作品が生まれた。石坂浩二や古谷一行をはじめ、高倉健や渥美清といった名優たちが金田一を演じ、近年では、稲垣吾郎、山下智久なども続々と挑戦した。

ところで、横溝正史が生んだもうひとりの名探偵・由利麟太郎も忘れてはならない存在だ。江戸川乱歩に絶賛された「真珠郎」や坂口安吾に傑作と言わしめた「蝶々殺人事件」などが由利シリーズの代表作として知られる。ただ、原作小説が少ないこともあり、過去の映像化は少ない。

「探偵・由利麟太郎」に出演した吉川晃司と志尊淳
「探偵・由利麟太郎」に出演した吉川晃司と志尊淳

(C)横溝正史/KADOKAWA/カンテレ

そんな由利麟太郎は、2020年に「探偵・由利麟太郎」として、フジテレビ系で連続ドラマ化されている。同作で主人公・由利を演じたのは、意外にもこれが地上波連ドラ初主演となる、吉川晃司。そして、その相棒役である三津木俊助には志尊淳が起用された。

由利は元捜査一課長の経歴を持つ名探偵で、「警視庁にその人あり」と言われるほど優秀だったが、ある事件をきっかけに退職。やがて、学生時代を過ごした京都に住まいを移し、骨董品屋を営む波田聡美が家主となる部屋を拠点にしている。そんな彼を「先生」と呼んで慕うミステリー作家志望の三津木俊助を助手に従え、警察からの依頼によって事件捜査に一役買う、という設定だ。

原作小説は戦前の昭和を舞台としているのだが、本作は令和の現代に時代を置き換えて、舞台も東京から京都へと変更するなど、思い切ったアレンジがなされている。ただ、全5話のストーリーは原作をベースにしたものだし、原作を現代的にアレンジした制作陣の工夫が随所に見られて楽しめる。原作では新聞記者だった三津木が由利の活躍を記事にするのが、本作ではWEBサイトへのアップだったり、由利が弓道の心得があることで精神集中をしたりと、ドラマオリジナルの設定が随所に見られる。

(C)横溝正史/KADOKAWA/カンテレ

本作の魅力は、第一に吉川の重厚なキャラクターと抜群の存在感が由利のイメージにぴったりはまっている点だ。さらに、素敵な相棒ぶりを発揮している志尊淳の演技が光っており、ドラマの魅力を高めていることが印象深い。

志尊は、ミュージカル『テニスの王子様』や「烈車戦隊トッキュウジャー」への出演などで注目され、2018年には、トランスジェンダー役に挑んだNHKドラマ「女子的生活」において、第73回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門放送個人賞を受賞。演技派俳優としても認知されている。同年には連続テレビ小説「半分、青い。」でも、ゲイの美青年・ボクテこと藤堂誠役でも存在感のある演技を見せた。

芸能界入りする前はスポーツに熱中していたという骨太な一面もある。過去には世間から見られるイメージと自身とのギャップに悩んだ時期もあったそうだが、今では「他人の作るイメージ通りに生きようなんて全然思っていないし、自分が思う生き方をしよう、と思っています」と語っている。

(C)横溝正史/KADOKAWA/カンテレ

そんな志尊の俳優としての新たな魅力も垣間見られる「探偵・由利麟太郎」は、ミステリー好きな人なら間違いなく楽しめる作品だ。吉川や志尊のファンも必見と言えるだろう。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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放送情報

探偵・由利麟太郎
放送日時:2021年11月7日(日)16:00~
チャンネル:AXNミステリー
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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