傑作ミステリー『ゼロの焦点』で西島秀俊が演じたのは、物語の鍵を握る謎多き男

主演映画『ドライブ・マイ・カー』が公開中。「きのう何食べた?」のシロさん役で世代を超えて大人気の西島秀俊。ニューヨークタイムスが選ぶ「2021年最高の俳優」の1人としてアジアから唯一、選出されるなど、ますます注目を集めている。そんな西島が、ヒロインの広末涼子の夫役として出演し、2009年に公開された映画が『ゼロの焦点』だ。

『ゼロの焦点』で主演を務める広末涼子、中谷美紀、木村多江
『ゼロの焦点』で主演を務める広末涼子、中谷美紀、木村多江

(c)2009「ゼロの焦点」製作委員会

原作は松本清張の代表作で、1961年に久我美子主演で映画化され、大ヒットを記録。これまでに何度もTVドラマ化され、松本清張の生誕100年を記念して平成の時代に制作されたのが本作だ。西島が演じているのは広末演じる鵜原禎子の夫・鵜原憲一。結婚してすぐに姿を消す謎の人物だ。12年前の西島秀俊が映画の中で見せた顔とは?

■西島の役は新妻に何も告げずに失踪する男

禎子と憲一が出会うのは戦後の高度経済成長の時代の昭和32年。お見合いの席で禎子は10歳年上で、自分のことをほとんど語らない穏やかな憲一に安らぎを覚え、2人はほどなく結婚する。金沢に赴任中だった会社員の憲一は東京に戻ることになるが、結婚後、ホームで見送る禎子の掌に持っていたバターキャラメルを1粒乗せて、引き継ぎのために汽車で金沢に向かう。

ところが、1週間で戻ると言っていた慶一は戻らず、会社に連絡を入れても消息不明。禎子は夫を探すため、1人、雪景色の金沢に旅立つことを決意する。汽車の中で思い出すのは、いつか金沢に連れて行ってほしいと頼んだ時に、曇った顔で「ああ、また機会を作ればいい」と言葉少なに答えた慶一と、露天風呂に入っている時に抱きしめられ、甘い言葉を囁かれたこと。

ごく平凡な会社員に思えた憲一はなぜ、妻に何も言わずに姿を消したのか?"いったい、どんな人生を送ってきたのだろう?"と想像力を刺激するミステリアスな男を演じる西島の表情に注目だ。

■憲一と3人の女たちの関係がミステリーを解く鍵

(c)2009「ゼロの焦点」製作委員会

本作の主要キャストは広末涼子、中谷美紀、木村多江だ。憲一が勤めている会社の取引先の社長(鹿賀丈史)の妻で、日本初の婦人市長候補をサポートしている室田佐知子(中谷)、会社の受付をしている田沼久子(木村)。夫の行方を探す過程で禎子は、社長から「あいつの私生活は私より家内の方が詳しい」と言われ、憲一の兄(杉本哲太)からは「昔からプラッといなくなる癖があった」と聞かされる。夫のことについて何も知らなかったという想いを抱えながら、禎子は多くの人たちの証言を頼りに粘り強く真相を追っていく。社長夫人として贅沢な暮らしを送っている佐和子と貧しい暮らしの中、懸命に生きている久子。2人の女性が憲一とどう絡んでいたのかが謎を解く鍵であり、戦争の悲しい爪痕と北陸の冬の荒れた海の風景が物語の切なさを加速させていく。西島が出演しているのは回想シーンのみだが、3人の女性の人生を左右すると言ってもいい重要な役どころだ。

文=山本弘子

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放送情報

ゼロの焦点
放送日時:2022年1月3日(月)8:45~、2022年1月30日(日)11:00~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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