ヨコハマを舞台に、実在する文豪の名を懐くキャラクターたちが繰り広げる"異能"アクションバトル「文豪ストレイドッグス」。原作となる漫画と小説を皮切りに、TVアニメ、舞台、劇場アニメーションに続いて、ついに初の実写映画化が決定。映画で描かれるのは、「主人公の中島敦と、その宿敵である芥川龍之介。もし、ふたりの所属する組織が逆だったら?」という"ifのストーリー"を描いたことで話題を呼んだパラレルストーリー『文豪ストレイドッグス BEAST』の物語。
今回は映画の公開に先駆けて、芥川龍之介役の橋本祥平と中島敦役の鳥越裕貴にインタビューを行い、作品にかける思いなどを聞いた。
――「文豪ストレイドッグス」が「BEAST」で初実写映画化するとお聞きになった際の率直な感想をお聞かせください
橋本「舞台でたくさんシリーズをやらせていただいた『文豪ストレイドッグス』なんですけど、まさか『このチームで銀幕に行く』なんて未来は誰も想像していなくて。なので最初聞いた時は、驚きと、今までやって来たことは正しかったんだと、報われた瞬間でもあったりしました。とにかくキャストのみんなの気合いも十分で『良いもの作るぞ』という気持ちが溢れていましたね」
鳥越「しかも初の実写映画化の題材が『BEAST』で、まだ小説でしか発表していないエピソードを僕ら舞台版のキャストが映像化するというのは、プレッシャーがありましたけど、そのプレッシャーもありがたく活かさせていただきました。映画化を最初に発表したのが2019年7月の舞台『文豪ストレイドッグス 三社鼎立』の大千龝楽だったんですけど、その時のお客さんのどよめきだったり、反響もすごかったので期待もありました。少しいろんなことで焦らしつつ、パワーを貯めてきたからこそ、すごく膨らみのある豊かな作品に仕上がったのかなと思っています」
――今回の「BEAST」は「中島敦と芥川龍之介の立場が逆転していたら」というifを描いた作品ですが、それぞれの役の魅力や印象をお聞かせください。
橋本「武装探偵社にいた頃の中島敦君は、どこか自信なさげで周りの人に支えられて強くなっていく......そんな成長過程を見ていたんですけど、この『BEAST』に関しては、とにかくいきなりめちゃめちゃ強いんですよね。境遇がが違えば、本人の強さももちろん変わっていくし、本編ではまだ登場していない技を使って敦君の虎と戦っていたり、今回はまさに『強敵』という印象でした」
鳥越「敦に比べると、芥川は意外と雰囲気は変わらない感じがしているのですが、そんな中で『武装探偵社というマイペース集団の中に入ると、芥川はどう変わるのかな?』というのが一ファンとしても楽しみでした。だからこそ、「BEAST」の原作になった小説の中での宮沢賢治とのシーンは本当にほっこりしましたね。本来、芥川が一番合わないマイペースな性格の賢治とのシーンが映画でどうなるのか期待しています。(橋本に向かって)徹底的に振り回されて欲しいね、武装探偵社に」
橋本「(笑)。まあまあ振り回されましたよ」
――長らくそれぞれの役を演じてきたからこそ"入れ替え"という今作の設定でも、キャラクターの魅力を最大限に表現できたのではないでしょうか?
鳥越「撮影現場では『祥平とじゃなかったら多分できなかった』とはよく言い合いましたね。特にアクションシーンでは、やっぱり関係性ができていないと変に気を使ったり、相手のポテンシャルを把握出来なかったりするので。お互いを知っているからこそ、アクションシーンの段取りはスムーズに行きましたし、ずっと一緒に舞台を演じてきた祥平が相手で良かったなと思いました」
橋本「『BEAST』を映画化するにあたって、自分が演じるキャラクターを深く理解したうえで臨むことが出来る、ということはかなり助かりましたね。舞台の『DEAD APPLE』の公演が終わってすぐに撮影に入ったので気持ち的に途切れることなく、そのまま現場に入ることができたのも大きかったと思います」
――お互いの初対面時の印象をお聞かせください
橋本「初めて共演させていただいた時に、もちろん鳥越君という存在と名前は知っておりまして。僕、何を隠そう、公式ブログを開設した時に『皆さん、文章の書き方とかヘッダーの画像とかどうしているんだろう』ということで、鳥越君の公式ブログを結構参考にさせていただいて」
鳥越「初めて聞いたわ。今、言う!?」
橋本「(笑)。はい、実は。鳥越君のブログはよく読んでいましたね。今では想像できないですけど、すごく可愛いヘッダーで」
鳥越「そら20代前半やからな。」
橋本「鳥越君は僕の事務所の先輩とも仲良しで、一方的に意識していたので、初めて会えた時はめっちゃうれしくて。その時は鳥越君から話しかけてきてくれて『会いたかった-!』って言ってくれたのをよく覚えています」
鳥越「こんなことになると思わなかった当時は『可愛らしい後輩気質な子やな』と思っていたんですけど。まぁ、なんか変なやつでした(笑)」
――数々の作品で共演してきた現在、印象は変わりましたか?
鳥越「変なやつでした!それはもう、変なやつでした!でも、『男らしくなったな』と思いますね」
橋本「『すごいな』と思うのは変わらないですね。昔から、人前に出た時の明るさとか全然変わらなくて。そこがやっぱり鳥越裕貴という人間を皆が大好きになる理由なのかなとも思っています。でも、強いて言えば、当時よりも後輩がもっと増えたことで、より『お兄やん感』というのが増したかな、と。今となっては『みんなの鳥越』になっていますから」
鳥越「お前が言うなよ。『その中でも俺が先です』みたいな(笑)」
橋本「そこはね、譲らないですよ(笑)」
――橋本さんは鳥越さん、鳥越さんは橋本さんと「ここを交換して欲しい」と思うようなものはありますか?
鳥越「顔面を交換して、祥平に人生の分岐点を作ってあげる」
橋本「僕は、鳥越君の誰にでも明るく接することができる能力を交換してもらいたいですね。でも、鳥越君の雰囲気で僕の人見知りする性格になったら、もう多分、何もないっすよ(笑)」
鳥越「お前、それありきで僕が成り立ってるみたいに言うのやめろよ!他にもあるやろ! なんや、この失礼な後輩は(笑)」
橋本「いや、『鳥越裕貴と言えば』という一番の武器はそこじゃないですか(笑)」
鳥越「もっとあるし!もっとあるし!」
橋本「こういうユニークな部分は、交換して欲しいですね」
――最後に、映画『文豪ストレイドッグス BEAST』の公開を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします
橋本「いよいよ2022年1月7日から、ようやく公開いたします!本当にこの日を、皆さんと同じく僕らも待ち望んでいました。ただ、いざ公開日が近づいてくると、楽しみでもあると同時にまだ実感が湧いていなくて。でも、自信を持って皆様にお届けできる作品です。ぜひ、大スクリーンの映画館に足をお運びいただいて、ご覧いただければうれしいなと思っています」
鳥越「ぜひ映画館で、しっかり映画『文豪ストレイドッグス BEAST』を心に焼き付けてくれたらうれしいなと思います。映画館の素晴らしい音響で聞く岩崎琢さんの音楽やGRANRODEOさんの主題歌だったり、大画面で観る芝居の迫力は、その場でしか味わえないので、ぜひ映画館でお楽しみください!」
撮影・取材・文=中村実香
放送情報
映画『文豪ストレイドッグス BEAST』
2022年1月7日(金)公開
詳しくはこちら