独特の世界観と卓越した笑いのセンスを持ち、幅広い分野で活躍するバカリズム。近年は脚本家としてもヒットを連発する彼が、完全オリジナル脚本で挑んだ最新作『ウェディング・ハイ』が3月12日(土)より全国ロードショー公開される。
本作の公開に先駆けて、映画「ウェディング・ハイ」公開記念特番が3月1日(火)に衛星劇場にてオンエア。作品の見どころ紹介はもちろんのこと、主演の篠原涼子ら豪華キャストが集結してのスペシャルトークやメイキング映像も満載。劇場公開が一層待ち遠しくなる内容となっている。
バカリズム脚本作品と言えば、原作と共に自ら主演も務めた『架空OL日記』(2017年)で第36回向田邦子賞を受賞。その後も、華やかなOLたちが壮絶な派閥争いを繰り広げる映画『地獄の花園』が昨年公開され、登場人物たちのぶっ飛んだヤンキーぶりが話題を呼んだばかりだ。
そんなバカリズムが今作の舞台に選んだのは、"結婚式"。敏腕ウェディングプランナーに支えられ、幸せな式を迎えるはずだった新郎新婦の前に、次々とクセモノの参列者たちが現れ大暴走。式はとんでもない方向へ...という、まごうことなき鬼才・バカリズムワールドが展開していく。
"絶対にNOと言わない"という信念を持つ敏腕ウェディングプランナー、中越を演じるのが篠原涼子。シリアスなヒューマンドラマから、変顔も厭わない振り切ったコメディ演技まで、幅広いキャラクターを演じ分ける彼女の圧倒的な存在感は誰もが知るところ。
クセのある名キャラ(迷キャラ?)に囲まれながらも際立つ、そのやりすぎ感のないナチュラルな演技は好感を抱かずにはいられない。今回はプランナーという役柄上、"受け"の芝居に徹したと明かす篠原だが、キャリアウーマンとしての"品格"と絶妙なコメディエンヌぶりを両立させ、抱腹絶倒のストーリーを牽引した。
バカリズムワールドを体現する個性豊かなキャスト陣もポイントのひとつ。穏やかな性格で周りに流されやすい新郎・彰人を演じたのは、話題作への起用が相次ぐ中村倫也。
NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年)や「凪のお暇」(2019年)などでの"ゆるふわイケメン"ぶりで、その人気を加速させた一方で、超変わり者の探偵を演じた「美食探偵 明智五郎」(2020年)や、謎めいた珈琲店主に扮した「珈琲いかがでしょう」(2021年)といった個性派キャラもしっくりとハマる。今作で演じた彰人役では、関水渚演じる天真爛漫だけど実はしっかり者の新婦にやや振り回されながらも醸し出す、絶妙にゆるい雰囲気が、その好対照な世界観に見事にマッチしていた。
一方で、ストーリーのハチャメチャ感に拍車をかけていくのが、結婚式にさらなる騒動を巻き起こす参列者たち。実は昨年4月にはクランクアップしていた本作で、"とにかく現場が楽しかった"と出演者たちが口を揃えるほど、和気あいあいだったという撮影現場。
その中でも、花嫁略奪を目論む元カレ役には岩田剛典、式に乱入しようとする謎の男に向井理が扮しており、そのクールな印象とはギャップのある演技には驚かされるはず。岩田本人も「こんな役はやったことがない」という通り、コメディのイメージがあまりないイケメン俳優たちの演技も気になるところだ。
また、『勝手にふるえてろ』(2017年)や『私をくいとめて』(2020年)で数々の賞を受賞し、映画ファンから高い支持を集める大九明子監督の演出も注目を集めている。クセ者ぞろいの群像劇で、各キャラクターを生き生きと映し出す手腕はさすがのひと言。芸達者なチームが作り上げる、新たなバカリズムワールドに浸りながら、心地良い疾走感を楽しみたい。
文=中川菜都美
放送情報
映画「ウェディング・ハイ」公開記念特番
放送日時:2022年3月1日(火)12:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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