舞台俳優としても大活躍の城田優が奥の深い相棒役を熱演！

城田優は、190cmという長身に加えて父が日本人、母がスペイン人という出自による華やかな顔立ちから、抜群の存在感を発揮する稀有な役者である。幼少期から芸能界に憧れて、13歳で芸能事務所に所属した。ただし、個性が際立つ容姿のために当初はなかなか役が付かないことも多かったようだ。俳優デビューは2003年、17歳でミュージカル『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面役だった。以降もミュージカル『テニスの王子様』など舞台を中心に役者としての下地を積み、2006年以降は映画やテレビドラマにも進出。2009年にはNHK大河ドラマ「天地人」において、真田幸村という大役を好演して話題になった。

その後も2008年のTBS系ドラマ「ROOKIES」、テレビ朝日系「交渉人〜THE NEGOTIATOR〜」、フジテレビ系「チーム・バチスタの栄光」といった話題作における演技で好演したことでさらに評価を高めた。2010年にはミュージカル『エリザベート』におけるトート役での演技により「文化庁芸術祭」の演劇部門で「芸術祭新人賞」を受賞するなど、ミュージカルでの実績を高く評価され、俳優として確かな地位を築いていく。特に印象深かったのは、2010年からTBS系で放送された「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」での演技だ。同作では主人公の元恋人役で、序盤は本筋に関わらないと見せて、終盤に大きな意味を持つ重要な役柄だったが、序盤と終盤での演技のふり幅があまりにも見事で、多くの視聴者をくぎ付けにするものだった。
　
その後に出演した、2012年のフジテレビ系ドラマ「GTO」も忘れられない作品だ。同作は、藤沢とおるの同名漫画が原作で、1998年に反町隆史主演で放送されたドラマのリメイク版として制作された。主人公の鬼塚英吉をAKIRAが演じ、城田はその親友・弾間龍二役に起用された。龍二はカフェバーの経営者であり、冷静で温厚な性格ながらひとたび怒るとめっぽう強く、主人公の鬼塚をサポートする重要な相棒役だ。正義感が強く、悪事には絶対に手を貸さない。鬼塚が弱気になった時に叱り飛ばすなど、奥が深い人物。見せ場も多く、難役ではあるが、城田の個性にぴったりハマって、作品を大いに引き締めていた。

前作の評判があまりにも高かったので、リメイクではそのぶん割を食うことが多いのだが、本作はオリジナル設定ではあるものの、原作漫画により近づけたスタッフの努力が評価されて原作のファンにも受け入れられている。前作の反町版では、「面白いが原作と違い過ぎる」という声も一部にあっただけに、リメイク版スタッフの面目躍如といったところだろう。

本作は2012年7月から9月までオンエアされた後、同年10月に「GTO　秋も鬼暴れスペシャル！」、2013年1月に「GTO　正月スペシャル！　冬休みも熱血授業だ」、4月に「GTO完結編〜さらば鬼塚！　卒業スペシャル〜」と、立て続けにスペシャル版が制作された。続いて2014年には台湾を舞台にした『GTO TAIWAN』が制作され(日本での放送は2015年)、同年7月からは鬼塚の母校・湘南を舞台にした新シリーズが放送されている。この第２シリーズは、ドラマの完全オリジナル脚本となっており、ヒロイン役と生徒役が一新された。城田は引き続き、龍二役を演じ、相変わらず深みのある表現で好演。

そんな城田が出演するドラマ「GTO」シリーズが3月に日本映画専門チャンネルで一挙放送される。最近もNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』での温かみのあるナレーションで評判となっただけに、城田の過去作における活躍を確かめる機会としても、「GTO」は見逃せない。

文＝渡辺敏樹

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