NHK連続テレビ小説「半分、青い。」のゆるふわイケメン"マアくん"役でも注目を集め、一躍人気俳優となった中村倫也。「凪のお暇」(2019年)でもモテ男を色気たっぷりに演じ、視聴者の心を鷲掴みにした。「美食探偵 明智五郎」(2020年)「珈琲いかがでしょう」(2021年)と連続ドラマの主演にも抜擢。タイプの違うモテ男に、超変わり者の探偵や秘密を抱えた珈琲店主といったクセ者でも、それぞれのキャラクターを確立させてきた。
主演映画『水曜日が消えた』(2020年)では曜日ごとに人格が入れ替わる青年を巧みに演じ分けるなど、カメレオン俳優としての評価も高い。多様な役柄で異なる姿を見せ続けている中村が声の演技に初挑戦した作品が、映画『アラジン』(2019年)だ。
5月7日(土)に吹替え版がスターチャンネルで放送される本作は、言わずと知れたディズニーの大ヒットアニメの実写映画。監督はヒットメーカーのガイ・リッチー、ランプの魔人ジーニー役をウィル・スミスが演じることも大きな話題を呼んだ。
ハリウッドのスター俳優やスタッフが集結する中、アラジン役には当時ほぼ無名だったメナ・マスードが大抜擢された。エジプト出身の若き逸材が、貧しくても心優しく機知に富んだヒーローを魅力的に体現。笑いあり、身分違いの恋模様あり、心躍る冒険アクションありのファンタジー大作の世界を生き生きと駆け回っている。
吹替え版でアラジン役を務めた中村は、オーディションで抜群の演技力と歌唱力が買われて大役を掴んだ。映画の吹替えは初挑戦ながら、舞台やミュージカルでの豊富な経験を活かして見事な声の演技を披露している。その声がマスードの生き生きとした動きと調和して、見る者を映画の世界観にどんどん惹き込んでいく。
そしてなんといっても、名曲「ホール・ニュー・ワールド」が素晴らしい。木下晴香の「これぞジャスミン!」と言うべき芯の通った澄んだ歌声を、中村が優しく包み込むように歌い上げている。心を通わせていく2人のハーモニーと映像がぴったり重なって心地よく、何度でも繰り返し聞きたくなる美しさだった。
相手に寄り添う温かさと伸びやかさのある歌声、時折見せる少年のようなきらめき、心の真ん中には純粋な清らかさ...物語が進むにつれて少しずつ内面的にも成長していく様子を、中村が声だけで丁寧に表現している。アラジンの中に弱さや優しさ、幼さと色気が両立しているところがまさしく中村らしい。愛すべき青年に新しい魅力と命を吹き込んだ本作で、その麗しい美声に酔いしれたい。
文=中川菜都美
放送情報
アラジン
放送日時:2022年4月29日(金)18:45~
チャンネル:スターチャンネル1
アラジン 吹替え版
放送日時:2022年5月7日(土)16:40~
チャンネル:スターチャンネル3
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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