菅田将暉セカオワ・Fukaseの共演で残忍な連続殺人事件を描くサスペンススリラー『キャラクター』

映画『キャラクター』に出演する菅田将暉とFukase(SEKAI NO OWARI)
映画『キャラクター』に出演する菅田将暉とFukase(SEKAI NO OWARI)

菅田将暉がなかなか芽の出ない漫画家を演じ、SEKAI NO OWARIのボーカリスト・Fukaseと共演したのがサスペンススリラー『キャラクター』だ。日本映画専門チャンネルでは、同作を7月24日(日)18:30より放送する。

浦沢直樹の作品を数多く手がけてきたストーリー共同制作者、長崎尚志の構想10年の企画をもとに、『帝一の國』『恋は雨上がりのように』などを手がけた永井聡監督がメガホンをとった本作。練りに練られたストーリーだけあって、前半からしっかりとその闇の世界の中に引き込まれていく。引き込まれていくというよりも、"連れて行かれる"ような恐怖感すらある。

お人好しで内向的な性格の漫画家・山城圭吾を演じる菅田は、本作の中でほとんど笑顔を見せず、物語が進むにつれて憔悴し、追い詰められていく役柄。本作が俳優デビューとなったFukase(SEKAI NO OWARI)は、物腰が柔らかだからこそ、なおさら怖いサイコキラーの両角を演じている。圭吾と同棲中の彼女・夏美役に高畑充希、事件の真相に迫っていく清田刑事役に小栗旬、時に暴走してしまう清田の良きストッパーとなりながらも共に事件を追う上司・真壁役に中村獅童と、キャストも魅力的な顔ぶれが揃っている。幸せそうな4人家族のみを狙った残虐な連続殺人事件を止めることはできるのか――。シリアスなストーリーに、菅田とFukaseの渾身の演技が冴える。

■菅田が演じる圭吾の嘘が、物語の謎を深める

著名なホラー漫画家のアシスタントをしている圭吾は、自分で描いた漫画を持ち込んでも「絵は上手いがキャラクターが弱い」と言われ、なかなかデビューできないでいる。漫画から足を洗おうと決意した圭吾だったが、ある日、題材となる一軒家のスケッチをする仕事を頼まれて出かけた先で、食卓で一家4人が殺されている残忍極まりない殺人現場と、その犯人と思われる凶器を持った男を目撃してしまう。

事件の第1発見者となった圭吾は清田(小栗)から取り調べを受け、スケッチをしていた理由については正直に話すが、真壁(中村)から犯人の似顔絵を描くように言われても「犯人の顔は見ていない」となぜか嘘をつく。疲れ果てて帰ってきた圭吾のことを夏美(高畑)は心配するが、そんな夏美をよそに、圭吾は自分の部屋に籠もって、その日に自分が見たおぞましい光景を何かに取り憑かれたかのように描いていく。やがて圭吾が見た若い男とは別人の中年の男が自白し、逮捕されるのだが...。
もし圭吾が警察に本当のことを話していたら、この映画の不気味さは薄まっていただろう。なぜ、肝心なところで嘘をつかなければならなかったのか。その意図はどこにあったのだろうか。

無口で感情を表に出さず、成功できずに負い目を感じているせいか恋人にも心を閉ざしている漫画家のダークサイドを、菅田が徹底してシリアスに演じている。

■薄気味悪く、現実離れしたサイコな青年はFukaseのハマり役

第2の殺人事件は山奥で実行される。通りがかった車に「近くまで乗せて行ってほしい」と両角が頼み、子供たちが乗っている後部座席に乗り込む。「4人家族って幸せそうでいいですね」と話しかける場面が恐怖を加速させる。子供が読んでいた漫画を覗き込んで、「殺人鬼のダガーってキャラ、僕に似てない?」と嬉しそうに微笑むが、その漫画こそが圭吾が両角をモデルにして描いたデビュー作にして、大ヒット作なのである。

目を覆いたくなるような事件現場は映されるものの、両角が4人家族を殺害しているところは映されない。表情や喋り方のトーンはソフトだが、猫背で鼻をすすったり、身体を不自然に動かす様子が不穏すぎるFukaseは、俳優初挑戦とは思えないほど細部に凝った演技を見せる。この男が逆に漫画の中から飛び出したキャラクターのようだからこそ、警察が疑いを向けても、多くを語ろうとしない圭吾の心理もあいまって視聴者は翻弄される。菅田将暉とFukase、後半の鬼気迫る展開も含め、刺激的な共演である。

文=山本弘子

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放送情報

キャラクター<PG-12>
放送日時:2022年7月24日(日)18:30~ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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