堺雅人が「半沢直樹」にも生かされる立ち居振る舞いで、誇り高い剣豪を演じたドラマ「塚原卜伝」

大ヒットシリーズとなった「半沢直樹」で、その演技がより多くの人に高い評価を得た堺雅人。その後も大河ドラマ「真田丸」に主演するなどトップ俳優として活躍しているが、堺が映像で初めて本格的なチャンバラ時代劇に挑戦したのが2011年に放送された『塚原卜伝』(原作は津本陽の『塚原卜伝十二番勝負』だ。時代劇専門チャンネルにて12月19日(月)22:00より放送される。

堺が演じるのは戦国時代に鹿島の地で生まれ、17歳で武者修行の旅に出る負け知らずの剣豪・塚原新右衛門(後の塚原卜伝)。有名な剣豪ながら、その青年期は謎に満ち、これまであまり映像化されてこなかった。本作は、新右衛門の無鉄砲だった若者時代を中心に、罪悪感に苛まれる時期、鹿島の太刀を継ぐ者として修行を続ける日々を経てついに自身の剣の在り方を会得するまでを描いた。誇り高い剣豪を堺が一途に演じている。孤高で、親しみやすさも持ち合わせている人柄、立ち居振る舞いが後の「半沢直樹」の演技に生かされたのではないかと思うほど魅力的だ。

■好奇心のままに猛者に勝負を挑む若者時代を堺が生き生きと演じる

鹿島神宮の神官の家に生まれ、幼い時から鹿島中古流の太刀を学んだ塚原新右衛門は塚原土佐守の養子に迎えられていたが、元服の儀式で望みを聞かれ、武者修行の旅に出たいと言い出し、周囲を呆然とさせる。真剣勝負の経験はないものの、大先生と呼ぶ松本備前守(永島敏行)もその腕を認めざるを得ず、殿の説得にも成功し、鹿島の太刀を広めるという使命のもと家臣の左門(平岳大)と共に晴れて回国修行の旅に出る。左門は若を守る重大な任務を背負っているため渋々顔だが、新右衛門は「神の名を背負って戦うのじゃ」とハイテンション。道中で山賊に襲われそうになっている村人たちを救おうとし、左門が半泣きになって止めるのも聞かず"見逃せば心に曇りが生じる"といきなりの真剣勝負で山賊たちを倒してしまう。小田原に向かうよう助言され、ワクワクする新右衛門は対戦相手のことも知らず、城での御前試合に申し込み、再び、左門を青くさせるが、"人鬼"と呼ばれているアクロバティックな剣士に勝ち、城で剣術を教えるよう頼まれる。しかし、もっと強い相手を求め、新右衛門は京の都へ。縁あって大内家の家老・平賀丹後守(風間杜夫)のところに世話になり、清水寺での御前試合でも強敵を倒す。真剣試合の最中に脳裏に浮かぶのは故郷、鹿島の風景。「風を思え、天を思え、地を思え」と心で唱え、身体が動くままに剣をふる。スローモーションを取り入れた真剣試合や殺陣のシーンは見応えたっぷり。集中している剣士の凛とした顔と、子供とお団子が大好きで、平賀の娘・鹿乃(京野ことみ)に想いを寄せられ、恥ずかしそうにする普通の若者の顔を持つ主人公の純な生き方を堺が鮮やかに演じている。

■悪夢と恐怖に襲われた新右衛門の葛藤と成長過程を描く

生命知らずだった若者時代を経て、やがて新右衛門は誰と戦っても勝ってしまう虚しさと多くの剣士たちを殺めてきた自分が血で汚れてしまったという想いに囚われ、闇に呑み込まれそうになる。その無敵の強さは広く知られ、鹿島に貢献するが、お金にも地位にも名誉にも関心がない新右衛門は故郷に戻ることを決意。ずっと新右衛門の無事を祈っていた巫女で妹の真尋(栗山千明)は兄と再会し、「神の御加護をひたすら祈れ」という神事を司どる物忌様(江波杏子)の遺言を伝え、新右衛門は千日修行の日々に入る。厳しい修行を終えて、新右衛門が会得した剣の極意とは? 「"殺める剣"ではなく"鎮める剣"というイメージがある」と当時、卜伝について会見で語っていた堺雅人。無我の境地で聖なる剣に向かい合う姿も強く印象に残る。

文=山本弘子

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放送情報

塚原卜伝(主演:堺雅人)
放送日時:2022年12月19日(月)スタート 毎週月曜22:00 ※第2話以降は2話ずつ放送
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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