元なでしこジャパン・岩清水梓が語るワールドカップの戦い方

6月7日に「FIFA 女子 ワールドカップ フランス 2019」が開幕する。サッカー日本女子代表、通称・なでしこジャパンも出場し、2011年ドイツ大会以来の頂点を狙う。今回、そのドイツ大会の優勝メンバーでもある、岩清水梓選手がワールドカップでの戦い方や見どころなどを語ってくれた。

――FIFA女子ワールドカップの位置づけを教えてください。

「これまで女子サッカーのメインとなる大会はオリンピックだったと思います。でも、日本が2011年のワールドカップで優勝したことによって認知度も上がり、皆さんに知ってもらうことができた。ワールドカップの価値が以前より上がったことは間違いないと思います」

――2011年のドイツ大会では優勝、2015年のカナダ大会では準優勝しました。なでしこジャパンが女子サッカー界をリードする立場になりましたね。

「優勝を経験したチームになったことで追われる立場、視察される側になったのは事実です。ドイツ大会で優勝した3ヶ月後に、まだ出場権を獲得していないロンドンオリンピックの予選があったんです。その時、アジアで負けちゃいけないって思えていたのはワールドカップで優勝したからです。ロンドンオリンピックの本大会でもプレッシャーは大きかったです。準優勝でしたが、注目されながらもあそこまで勝ち進めて結果を出せたのは、プレッシャーを力に変えられていたからだと感じます」

――チャンピオンエンブレムが付いたユニフォームは重かったですか?

「今でこそ、チャンピオンエンブレムを付けてプレーできていたのは価値あることだと思いますが、当時は正直重かった。負けられないプレッシャーを今までにないくらい感じていました」

――女子サッカーの魅力を教えてください。

「男子サッカーよりも運動量の多さがあると思います。男子の場合は、逆サイドまでボールが届きますが、女子の場合はキックの飛距離が短い分、逆サイドに持っていくのも経由しなくてはいけないんです。だから、自然と連携したプレーが多くなります。そういった細かいプレーが多くなるので、男子に負けないくらい足元の技術が高い選手がたくさんいます」

――岩清水さんが所属している日テレ・ベレーザには多くの代表選手がいますね。

「日テレ・ベレーザの選手が多くピッチに出るとクラブで実践している攻撃パターンが代表で出る場面もあります。代表は色々なチームのやり方をまとめるのは難しいと思いますが、1つのチームから多くの選手が出ればやれることも多くなるとは思います。2011年の優勝メンバーもINAC神戸の選手が多かったですが、元ベレーザのメンバーが多くてサワさん(澤穂希)、キンちゃん(近賀ゆかり)、シノブちゃん(大野忍)、ナガサト(永里優季)、あや(宮間あや)もメニーナ育ちだし......。イメージを共有できる選手たちが多くピッチにいることは良いことだと思います」

――日テレ・ベレーザと今の代表はすごくリンクするイメージがあります。

「贔屓目に喋ってしまうとベレーザのサッカーができれば強いと思います」

――昨シーズンのベレーザはリーグ優勝、リーグ杯優勝、皇后杯優勝と三冠を成し遂げましたからね。

「リーグを制覇した自負があるので、自分たちのサッカーを信じているし、それができれば世界と戦えると思っている選手がたくさんいると思います。だから、ベレーザのサッカーを良い意味で落とし込めれば、フランス大会でも上位に食い込めると思います」

――本大会のグループステージはイングランド、スコットランド、アルゼンチンと同組です。グループリーグの展望をお願いします。

「戦う順番はすごく大事なんです。しかも大会の初戦はすごく難しい。お互いに勝ち点が欲しいので、いつも勝っている相手でも苦戦するのは珍しくないんです。でも初戦のアルゼンチンは、足元の技術が高い印象ですが、DFラインにウィークポイントがあるので日本が得意とする連動性のあるパスサッカーができれば難しい相手ではないと思います。できれば、最終戦のイングランド戦を残しておいてグループステージ突破を決めてしまいたいですよね。当たる順番は良いと思うので」

――日本が勝ち進んでいくために必要なことはなんでしょう。

「相手の土俵に上がらないこと。スピード勝負に付き合わなかったり、大きい相手に高さやロングボールを多用するなど相手の土俵に上がらないことは、ワールドカップを戦う上で必要です。日本のスタイルで勝ちにいかないと良い結果に繋がらないと思います。連携を深めて12人にも13人にも見えるサッカーをしてほしいと思いますね」

――今大会、日本以外で注目チームはありますか?

「開催国フランスです。技術とスピードがあって自国開催としてすごく良い準備をして完成度の高いチームに仕上げてきていると思います。見ていてワクワクするチームです。日本と当たるまでは楽しみです。あとは、大本命アメリカ。決勝へ行くことが約束されているほどの実力があるので、それが本当にファイナルまで勝ち進むことができるのか注目しています」

――今大会の注目選手は?

「私がマッチアップしていたアメリカ代表のFWアレックス・モーガン選手。正直、あの選手しか覚えてないくらい化け物でした。速いし、シュートレンジ広いし、上手いし......。そして、とてもキレイ!プレー中にメッチャ見ちゃいますよ。そのくらいキレイ。モデルさんって感じ。それなのにサッカーも上手いなんてホントにずるい(笑)。」

――今年3月15日には2023年FIFA女子ワールドカップ開催地に日本が立候補しました。自国開催へ向け追い風が吹けばいいですね。

「今のなでしこジャパンはU17(2014年コスタリカ大会)、U20(2018年フランス大会)のワールドカップで優勝している世代なので、強いメンタルを持って優勝することを本気で考えている世代です。劣勢になったときが少し心配だけど、常に勝ってきた世代なので、大会の空気にのまれず、自分たちのサッカーができれば結果を出すことは難しくないと思います」

取材協力/写真提供:J SPORTS

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放送情報

FIFA 女子 ワールドカップ フランス 2019
放送日時:2019年6月8日(土)2:15~ ほか
チャンネル:J SPORTS 3 ほか

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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