渋野日向子、畑岡奈紗、鈴木愛...注目の女子ゴルファーが五輪に賭ける思い

3月2日に女子ゴルフの世界ランキングが発表された。注目の渋野日向子は12位と1ランク後退したが、日本人トップの畑岡奈紗は5位の座を守った。3番手の鈴木愛も変動なく、15位につけている。東京五輪に出場できるのは、世界ランキング15位以内が条件。ギリギリではあるが、鈴木が15位につけていることは大きな意味をもつ。日本女子ゴルフ界を牽引する彼女たちを取り巻く現状や今後は一体どのような展開を見せていくのだろうか。

■新型コロナウイルスがもたらしたゴルフ界への影響

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が懸念され、開催予定だったアメリカツアーが中止になるなど、世界の主要ツアーの試合が行われなかった結果、今回のランキングには大きな変動がなかった。さらに、国内ツアーの開幕戦として行われる予定だった「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」も中止になるなど、ゴルフ界にもウイルス騒動の余波は大きい。

東京五輪の代表の座は、6月29日(月)付の世界ランキングをもとに選出される。アメリカツアーを主戦場にする畑岡は世界ランク5位と代表選出が濃厚だが、渋野と鈴木はまったく油断できない。今後の国内ツアーの開催が不透明のため、再開されるアメリカツアーの結果次第で、他国の選手から追い上げられて15位以内からこぼれ落ちる可能性もまだあるからだ。今後は、ランキングポイントが高いアメリカツアーへのスポット参戦も視野に入れ、世界ランキングをキープするための多岐にわたる調整が求められる。

■注目の女子ゴルファーたちの五輪への想い

渋野は以前から東京五輪出場を熱望しており、自ら"チームしぶこ"と名付けたチームが一丸となって五輪を目指している。特に、2017年にプロテスト不合格となった時から彼女を指導してきた、青木翔コーチが果たす役割は大きい。また、チーフキャディとして渋野を支えてきた定由早織キャディにも渋野は全幅の信頼を置いている。2019年の全英女子オープン制覇という快挙も、チームの働きがなくては成し得なかったことは間違いない。

渋野以上に、五輪に賭ける意気込みが強いのが畑岡だ。高校卒業と同時にプロ転向、単身で渡米してアメリカツアーに挑戦してきた。当時から「東京五輪で金メダルを獲りたい」と公言し、その目標を実現させるための渡米でもあった。アメリカツアーでも3勝を記録し、夢の実現にも着実に近づいている。

昨シーズン、渋野との争いを制して2度目の賞金女王となった鈴木。誰よりも練習の虫で、ファンサービスに熱心なことでも知られる。スランプに陥ってツアーを欠場した際も、子どものファンから励ましの手紙をもらったことで奮起したこともあり、「ファンに支えられている」という思いが人一倍強い。そんな鈴木もまた、地元開催の五輪でファンへの恩返しを誓っている。

3月29日(日)にテレ朝チャンネル2で放送される「独占！渋野日向子 勝負の1年 賞金女王・鈴木＆黄金世代・畑岡の挑戦 完全版」は、そうした五輪を目指す彼女たちの奮闘ぶりを秘蔵映像と共に映し出した番組だ。渋野は憧れのソフトボール選手・上野由岐子と対談したほか、3選手の挑戦、強さの秘密、またそれぞれの"負けられない理由"などにも迫っている。五輪代表の行方が気になる今だからこそ、熾烈な代表権争いに身を投じる彼女たちの姿には惹きつけられること必至！勝利へのその貪欲な姿勢からは、活況の日本女子ゴルフ界の理由も透けて見えるような気がする。

文＝渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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