元北海道日本ハムコーチ・黒木知宏が今年のメジャーを解析！

－5年間、黒木さんがコーチとして見守ってきた大谷翔平選手が、いよいよメジャーに挑戦されますね。

彼は北海道日本ハム入団当初から、自分の体をちゃんと把握しながら、目標に向かって何をすべきかという判断力、行動する決断の早さはずば抜けていました。
2016年、16奪三振した西武ドームで優勝を決めた試合が印象に残っています。勝たないと優勝を逃すっていう局面で、最高のピッチングができるすごさ。野球の神様はいるんだなっていうのを目の当たりにした試合でした。実は、マウンドで投げてる姿を見た時、ブルペンでちょっと涙が出ちゃいました。「やっぱり大谷すごいな」って。

－ずばり、大谷選手はメジャーでも通用しそうでしょうか？

僕は通用すると思っています。なぜなら日本で一番のピッチャーで、彼が目指しているのは世界一のピッチャーですから。それだけの能力を持っていますし、９イニング完投まで、150キロ中盤から後半で投げ続けるピッチャーっていないですよ。
真っすぐは165キロ、スライダーが右バッターの肩口からアウトコースいっぱいまで曲がる引っくり返るような球、フォークボールは150キロ、カーブは100～120キロ台もある、腕の振りが同じでくるので、全球種を対応するのが難しいくらいです。

まずは一年間ローテーションを守ってほしいですね。
バッターとしても素晴らしいですからね。チームとして彼をどういう風に起用するのか楽しみです。
DH制だと、投げ終わった後、野手でも出ますよね。それは体に相当負担が来るんですよ。一番気を付けなきゃいけないのは、投げ終わった後のリカバリー、その時間がどれくらいとれるかがカギになりそうです。
本人の能力としてはやれると思うので、本人とチーム全体が、どう出場するのかをマネジメントすることが一番の課題でしょうね。

－現状の大谷選手の体つきや調子はいかがでしょう。

投げている姿を見るとそれなりに自主トレをやってきているなって感じましたね。背中の筋肉の張り具合が大きく見えたのですが、背中の筋肉って相当トレーニングしないと大きくならないし、それを使っていてもバランスよく投げられているところを見ると、きっちり練習してきているんだなって見えましたね。

－名誉のあるサイ・ヤング賞をとるのはいつ頃になるでしょうか！？

これは...分からないですよね(笑)。ただ期待はしています！出来ることなら一年でも早く見たいです。
年間全部ローテーションを守って220～240イニング投げて、彼の最高のパフォーマンスをし続けたら一番勝つでしょうね。それくらいの能力を持っている選手です。あとは、長いシーズンをどう進んでいくのか、ですね。

－楽しみな対戦は？

僕は、イチローとやってもらいたいです。日本でもメジャーでも、ずっと一流の選手と戦ってきていて、ボールを見る目はもちろん、ピッチャーの圧力をすごく感じ取れる選手だと思うんです。イチローにとって大谷選手はどう見えるのか、対戦後に「大谷ってこうだったよ」っていうコメントを聞きたいです。

－そのほか注目している日本人選手はいますか。

申し訳ないですけど、僕、全員です(笑)。 今季からメジャーに行く、平野佳寿投手(ダイヤモンドバックス)も牧田和久投手(パドレス)も絶対活躍すると思います。 平野投手はフォークボール(スプリット)が抜群です。メジャーで十分通用すると思います。スピードボールもあって、コントロールも良い。一年間投げ続けて、試合数も60～70くらい投げたらチームとしても良い順位を狙えると思いますね。
牧田投手は、アンダースローであのテンポで投げられるピッチャーって中々見られないと思うし、球数少なくしてバッターを抑えて、自チームに流れを引き寄せるのが上手いので、チームとしては本当に心強いピッチャーだと思います。

カブスに移籍するダルビッシュ有選手も、今年一年は落ち着いて野球ができそうですよね。一年間投げ続ける体力もありますし、カブスがワールドチャンピオンになるためには必要不可欠な選手だと思います。

－今季のメジャーリーグをどう解説していきますか？

日本人メジャーリーガーが活躍すると、小さい子たちや日本全体に夢や勇気を与えると思うんです。
これから日本人選手の試合中継も増えていくということで、これまであまり見たことがなかった人も、大谷選手をとっかかりとして、彼と対戦したバッターが誰なのかとか、興味をもって、盛り上がっていったらいいですね。

※この記事はヨムミル！ONLINEの転載になります。

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