『兄を持ち運べるサイズに』──中野量太監督が5年ぶりのメガホンで問いかける"人を見送る意味"

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『兄を持ち運べるサイズに』
『兄を持ち運べるサイズに』

(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

――家族の"後始末"というテーマは、現代社会において切り離せないテーマだと思いますが、映画を通して観客にどんなことを伝えたいですか?

「『後始末』というのは、まさに誰もが経験することだと思いますし、明日にも起こりえる出来事だと思っています。コロナの時期には、人が亡くなるということがとても身近な出来事で、亡くなった人をきちんと見送れない、葬儀や火葬場にすら立ち会えない。そうした現実を目の当たりにして、他人事として見ていても、強烈に苦しいことだと感じていました。

家族や大切な人はいつか失うものですし、その死をきちんと見送ってあげて、残された人がそこから何かを学び、受け取って生きていく。それが人間の基本的な営みなんじゃないかなと思うんです。死の間際に立ち会えず、骨だけが戻ってくる。それは本当に苦しいことだったと思います。だからこそ、 この作品を通して、『家族を大切にしましょう』なんて大げさなことは言いたくないですが、ちゃんと最後を見送って、それを持って人間って生きていくんじゃないのっていう問いかけみたいのは、この映画でできたらいいなと思っています」

――最後に、本作を楽しみにしているファンの方々へメッセージをお願いいたします

「観て、たくさん感じて、たくさん考えて。それでいて、軽やかに楽しめる作品になっていると思います。観終わった後にはきっと誰かとたくさん話したくなるはずです。特に、家族といろいろ話したくなる映画だと思います。ぜひ家族みんなで映画館に足を運んでいただいて、観た後に語り合っていただければ、この映画の役割は果たせるんじゃないかと思っています。でも決してそんな重く考えず、"映画を楽しみに行く"という気持ちで、観に来てください」

『兄を持ち運べるサイズに』
『兄を持ち運べるサイズに』

(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

文=HOMINIS編集部

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公開情報

映画『兄を持ち運べるサイズに』
2025年11月28日(金)公開
原作:村井理子「兄の終い」(CEメディアハウス刊)
監督・脚本:中野量太
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大ほか
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

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