「鉄腕アトム」「ブラック・ジャック」など、漫画史に残る傑作を生み出しただけでなく、自らの手で「鉄腕アトム」を日本初の長編TVアニメとして映像化するなど、現代日本文化に多大な影響を与えた巨匠・手塚治虫(※「塚」は正しくは旧字)。大阪大学医学部の学生だった1946年に「マアチャンの日記帳」でデビューし、1989年に享年60歳で逝去するまで「生命の尊さ」を永遠のテーマに、さまざまな作品を描き続けてきた。そんな"マンガの神様"が今年11月3日に生誕90周年を迎えるにあたり、手塚作品や関連番組が多数放送される。
今回放送される、1986年放送のドキュメンタリー「NHK特集『手塚治虫・創作の秘密』」と、1995年放送のドラマ「天空に夢輝き~手塚治虫の夏休み~」では、手塚治虫という人物を知ることができる。
「手塚治虫・創作の秘密」は、アシスタントさえも入室することが許されなかったという手塚治虫の仕事場に、初めてリモートコントロールカメラを入れて密着。作品3本の締め切りを抱えながら、フランス・アルケスナンで開催される「日仏文化サミット'85」参加のため渡仏しなければならないという過酷な状況下に置かれた手塚の当時の様子と、彼の創作の原点などに迫るこの番組では、パワフルなその仕事ぶりを垣間見ることができる。
「天空に夢輝き」は、NHK大阪開局70周年記念ハイビジョンドラマとして制作された、手塚の幼少期のエピソードをモチーフとした作品。時は昭和14年、主人公はマンガに夢中になり過ぎて、両親からマンガを読むことも描くことも禁じられた小学5年生の手塚少年。彼と、時計修理の渡り職人・伸造との出会いと別れを鮮やかに描き、海外でも高い評価を得た。
手塚作品では、1997年にイタリアの国営放送局と日本のテレビ局が合同で制作した「手塚治虫の旧約聖書物語」、人間の業を壮大なスケールで描いた「火の鳥」の劇場版とOVA、そして2004年制作のTVシリーズを一挙放送。さらに、国内外に多くのファンを持つ、天才無免許外科医の活躍を描いた「ブラック・ジャック」のアニメと実写版など、今なお色あせることのない手塚治虫の圧倒的な才能を堪能できる作品が満載だ。
生前、自宅近くにある行きつけの喫茶店で顔見知りとなった男子高校生に、気さくに声をかけるなど、親しみやすい人柄でも知られていた手塚。デビューして40年が経った57歳のころ、「あと40年、100歳まで描き続けたい」と語っていた願いがかなうことはなかったが、彼が遺した数多くの作品とキャラクターたちは永く愛され続けることだろう。
文=中村実香
放送情報
【2ヶ月連続】手塚治虫生誕90周年記念特集~マンガの神様が残したメッセージ~
放送日時:2018年11月3日(土)07:20~ほか
チャンネル:ファミリー劇場
※放送作品:「ブラック・ジャック」「NHK特集『手塚治虫・創作の秘密』」「天空に夢輝き~手塚治虫の夏休み~」「火の鳥 鳳凰編・ヤマト編・宇宙編」「火の鳥」「手塚治虫の旧約聖書物語」
手塚治虫90周年 &「ブラック・ジャック」誕生45周年記念『ブラック・ジャック』映画・ドラマ・アニメ一挙放送
放送日時:2018年11月3日(土)12:10~ほか
チャンネル: 映画・チャンネルNECO
※放送作品:「ブラック・ジャック(ドラマ)」「瞳の中の訪問者」「劇場版 ブラック・ジャック」「ブラック・ジャック(OVA)」
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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