山岸と岸本の感動的なVTRがステージ上に映し出されると、「足りないもの埋めてゆく旅」ではメンバーそれぞれから卒業する2人に対してメッセージが届けられる。いつもであればメンバーが卒業メンバーに向けて手紙を読み上げるのが恒例となっているが、今回は楽曲の中で伝えられる形となった。とはいえ、2人に対するメンバーの思いが伝わる本公演のハイライトとなっており、楽曲の世界観も相まって感動的な空間となっていた。「アドレナリン・ダメ」「断捨ISM」を披露した後に、この日が初披露となる「アタシリズム」では一際大きな歓声が上がった。同曲は病気療養だった岸本が最新シングルに参加できなかったため、これが初めて11人でのパフォーマンスであり、ファンはその瞬間を噛み締めているようだった。
「マサユメ」「今夜だけ浮かれたかった」に加え、「初恋サンライズ」というグループにとって始まりとも言えるメジャーデビュー曲を披露し、本編を締めくくった。最初には新曲「妄想だけならフリーダム」、最後に「初恋サンライズ」を配置したセットリストはまさにグループの歩みを辿るものになっていた。
そしてアンコールでは2人のメンバーカラーでもあるライトグリーンとイエローのペンライトで埋め尽くされ、「ゆめの」「理子ちゃん」コールが鳴り響く。しばらく続いた後に黒のドレスに身をまとった岸本がステージの中央に現れメッセージを読み上げる。「ハロー!プロジェクトでの11年間で、たくさんの人に支えられて、たくさんの人の愛をいただいて、ここまで来ることができました」と感謝を述べると、「つばきファクトリーと、(山岸)理子ちゃんと、私の物語はこれからも続いていくもので、私はこの先もたくさん歌を歌って生きていきたいです」と決意を口にし、披露されたのは岸本にとっても思い入れのあるBerryz工房の「BE」。ステージの隅々まで見回しながら歌っている姿が印象的だった。
岸本と入れ替わるように純白のドレスを着た山岸が登場すると、そのままハロー!プロジェクト モベキマスの「かっちょ良い歌」をソロ歌唱。山岸の掛け声に合わせてファンのシンガロングも巻き起こり、卒業ライブとは思えないポジティブな空間が作り上げられていく。だが、山岸が手紙を読み上げると雰囲気は一変。「活動していく中で、アイドルってこんなにかっこよくてキラキラ輝いているんだなって、ハロー!プロジェクトの素晴らしさに気づかせてくれました」とアイドル人生を振り返ると、「グループ内で一番リーダーに向いていないだろう私が、リーダーになり、毎日プレッシャーに押しつぶされそうになりながら活動していました。そんな頼りないリーダーに今までついてきてくれて支えてくれたメンバーのみんなには本当にありがとうの気持ちでいっぱいです」と述べ、メンバー一人ひとりに感謝の手紙を読み上げた。
そしてポジティブなメッセージ・ソング「愛は今、愛を求めてる」へと歌いつなぐと、最後のMCでは山岸と岸本も涙ぐみながらもファンに感謝を告げる。メンバー一人ひとりが卒業する2人に向けて最後のメッセージを送り、11人で披露する最後の曲「勇気 It's my Life!」で会場を揺らした。
同公演はCSテレ朝チャンネル1で生中継されたほか、47都道府県の映画館51スクリーンに加え、台湾、香港でもライブビューイングが行われるなど、ライブの模様は様々な地域で放送された。卒業する山岸は俳優業、岸本はソロアーティストとして芸能活動を続けていくことも明かされており、今後の2人の活躍も応援していきたい。
取材・文=川崎龍也
放送情報【スカパー!】
つばきファクトリー コンサートツアー 2023秋 可惜夜~山岸理子・岸本ゆめの 卒業スッぺシャル~暁
放送日時:2023年11月18日(土) 16:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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