乃木坂46・久保史緒里がセーラームーン役で見せた女優としてのポテンシャル

現在のアイドル界のトップをひた走る乃木坂46。ライブ、テレビ、雑誌、舞台などあらゆる場所でさまざまなメンバーが活躍している。そんな乃木坂46の3期生メンバー・久保史緒里が素晴らしい演技力と歌唱力で主人公を演じ切った作品が、2019年に上演された『乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2019』だ。

同作品は、武内直子の人気コミックをミュージカル化したもので、乃木坂46メンバーがセーラー5戦士を演じた人気作品。主人公のセーラームーン/月野うさぎ役の久保のほか、セーラーマーキュリー/水野亜美を向井葉月、セーラーマーズ/火野レイを早川聖来、セーラージュピター/木野まことを伊藤純奈、セーラーヴィーナス/愛野美奈子を田村真佑がそれぞれ演じた。このミュージカルの東京公演千秋楽の模様が、5月10日(日)にTBSチャンネル2にて放送される。

(C)武内直子・PNP/乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2019

久保が演じるうさぎは、ちょっとドジで泣き虫だが元気いっぱいの中学2年生。ある日、黒猫のルナと出会ったことで、愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーンとなる。その後、亜美ら4人の仲間を集めて、大いなる敵と戦っていくという役どころなのだが、そんなうさぎを久保は圧巻の表現力で力演し、女優としてのポテンシャルの高さを見せている。

例えば、ちょっとドジだがはちゃめちゃに明るく愛らしい人柄を、中学2年生という幼さと共に表現する一方、セーラームーンとなり戦いに身を投じていく中で生じる不安や葛藤、心の弱さも繊細に表している。特に、第2幕からはセーラームーンの秘められた前世が明らかになり、失われていた記憶を取り戻すことで過酷な運命に立ち向かう姿が描かれるのだが、心が折れそうになるシーンでの絶叫や絶望してしまった時の脱力感など、心情の移り変わりをせりふ回しと芝居で巧みに演じ、うさぎ自身の成長を熱演。見事に人間ドラマとして昇華させているのだ。もちろん、ミュージカルとしての見どころである歌の部分も、持ち前の歌唱力を発揮。のびやかな歌声でセーラームーンの力強さと可憐さを十二分に表現している。

(C)武内直子・PNP/乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2019

乃木坂46版ということで、どうしても「アイドルのミュージカル」という印象を受けがちだが、観ればそんな印象は吹き飛ぶだろう。それは、他のメンバーの芝居も一役買っている。向井は真面目で引っ込み思案な亜美、早川は凛とした大人っぽいレイ、伊藤は熱い思いを持つ真っ直ぐなまこと、田村はリーダーシップのある美奈子を、同じセーラー戦士という役柄ながらそれぞれのキャラクターの違いを浮き立たせて、それぞれの違った個性が作品の幅を広めているのだ。

作品の性質上、歌やパフォーマンス、アクションなどに目がいきがちだが、乃木坂46メンバーの芝居に注目して観ると、人間の心情的な部分が織り成すドラマの要素をより楽しめるだろう。「アイドルのミュージカル」で垣間見える、メンバーの"女優としてのポテンシャル"の高さを堪能してみてほしい。

文=原田健

この記事の全ての画像を見る

放送情報

乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2019
放送日時:2020年5月10日(日)18:00~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物