槇原敬之「Showcase the Live!」2時間半の舞台裏、映像制作に密着

ミュージシャン

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Photographer:Kenji Miura (Lightsome) Photographer Assistant:Miho Nagai (Lightsome)

松井菜穂(WOWOWディレクター/プロデューサー)と勝田正志(撮影監督)が率いるチームによる『Makihara Noriyuki Concert 2025 Buppu Label 15th Anniversary "Showcase the Live!"』の撮影に密着してから約1か月半。松井監督のオフライン編集が終わり、本編とエンドロールのラフ映像が出来上がった。

オフライン編集とは──僕も初めて聞いた言葉だったが──16人のカメラマンが撮影した16本の素材を同期させ、16分割した画面で一度に見られるように編集した「マルチ」を見ながら、映像編集ソフトを使ってベストの画(え)をつなぎ、1本のラフ映像にまとめていく作業である。

松井のオフライン作業の様子
松井のオフライン作業の様子

松井は完全にひとりでこの作業を行うそうで、その間は「他の映像は基本、まったく見ない」のだとか。その理由は「世に出てるものって"正解"なんです。自分はまだ世に出てないものを作ってるので、だいぶ違ったら"大丈夫かな?"って不安になるじゃないですか。そうするとプラスになることは何もないので」という、実に松井らしく、かつ納得のいくものだった。

サラッと書いたけれど、16分割の映像から「これ!」という画を選んで選んで、つないでつないで2時間半の映像を作るのがどれほど大変な作業か、想像もつかない。そんな生みの苦しみを経て、松井が命からがら(大げさかもしれないがそう言いたい)完成させたラフ映像に、「カラコレ(color correction=色補正)」「グレーディング(色演出)」や音声のミキシング、テロップの挿入といった高度な演出を施して「完パケ(完全パッケージ)」に持っていくのがオンライン編集。これら撮影後の作業を総称して「ポスプロ(ポストプロダクション)」という。

僕はこのたび、カラコレの作業に立ち会うことができた。作業を行うのは株式会社ARKのオンラインエディター/カラリスト 清田直登とオンラインエディター/コンポジターの藤木智次郎、場所は同社が所有する溜池山王の映像編集スタジオ「Oliv」である。松井監督と勝田撮影監督、WOWOWのアシスタントプロデューサー毛塚琴音も一緒だ。

スタジオに到着すると、巨大なメインモニターに映像が映し出されていた。清田はカラコレ用の大型パネルとディスプレイ 2 台(これもでかい)を据えたデスクに向かい、その後ろの別のデスクでは藤木がやはり機材を並べて別の作業をしていた。二人には松井から指示を書き込んだ書類が渡されていて、これを参照しながら清田はカラコレ、グレーディング、藤木は曲タイトルテロップの制作を同時に進めていくのだという。

松井監督の細かい指示を見ながらトーンを調整している清田
松井監督の細かい指示を見ながらトーンを調整している清田
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放送情報

『槇原敬之 Concert 2025 Buppu Label 15th Anniversary “Showcase the Live!”』
収録日:2025年7月9日/収録場所:東京ガーデンシアター
放送日時:2025年9月28日(日)21:00~ 独占放送&配信
チャンネル:WOWOWプラス
スカパー!番組配信にて放送同時&2週間の見逃し配信あり
スマホ・タブレット・PCなどで放送同時配信と見逃し配信をお楽しみいただけます。
▼ご視聴はこちら
https://streaming.skyperfectv.co.jp/channel-770561

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