歌姫・中森明菜の実力を改めて証明!名曲カバーに再注目

日本を代表する歌姫、中森明菜。1980年9月にピンク・レディーが解散を発表(解散コンサートは1981年3月に開催)し、10月に山口百恵が引退。一つの時代が終焉を迎えたのと同時に、1980年4月に松田聖子が「裸足の季節」で歌手デビューして、新しい時代が始まった。80年代はアイドル隆盛期で、特に1982年は小泉今日子、早見優など、多くのアイドルが誕生。その中に中森もいた。

■さまざまな楽曲を歌い人気と実力を証明

「スローモーション」で1982年5月にデビューしたが、7月にリリースした「少女A」は真逆と言ってもいいほど、楽曲のテイストが違っていた。当時爽やかなポップス(=王道アイドルソング)を歌うアイドルが多い中、この曲の個性が際立ち、加えて中森自身の歌唱力の高さと表現力の豊かさも多くのリスナーにしっかりと伝わることとなった。

「セカンド・ラブ」「1/2の神話」「禁区」「北ウイング」をはじめ、「飾りじゃないのよ涙は」「DESIRE -情熱-」など、リリースするシングルは振り幅が広く、デビューから数年でその時代を代表するトップアイドルへと成長していった。1985年に「ミ・アモーレ」で、1986年に「DESIRE -情熱-」で日本レコード大賞を2年連続で受賞していることが、人気の高さだけでなく、歌い手としての実力も証明している。

その後の1987年に加藤登紀子から提供された「難破船」、アイドル・歌謡曲の枠に収まらない1988年の「TATTOO」と、いい意味でクセの強い楽曲を自分のものにして歌えたのは、自己プロデュース能力にも長けた中森だからこそだろう。

■1994年にカバー・アルバムをリリース

中森は80年代からライブにも定評があった。MUSIC ON! TV(エムオン!)では、エンターテインメント性の高い中森のライブをフィーチャーし、昨年9月から7ヶ月連続で放送中。ベストアルバム『true album akina 95 best』を提げた1995年のスペシャルライブ、1997年に9年ぶりに開催された全国ツアーの最終日など、90年代、2000年代の記憶に残る名ライブが届けられてきたが、ラストは1994年12月に東京・PARCO劇場で行われたスペシャルライブ「歌姫」("UTAHIME" AKINA NAKAMORI PARCO THEATER LIVE)が3月21日(日)に放送される。

1994年は歌手・中森にとって1つの転機となった年と言えるだろう。3月に自身初のカバー・アルバム『歌姫』をリリースしている。オリジナル曲だけでなく、このようなカバー集を作ったことで、タイトル通り"歌姫"であることを改めて広く知らしめることとなった。

"好きな曲を歌いたい"という思いから、数百曲の候補の中から山口百恵、岩崎宏美、ユーミン(荒井由実)など、選び抜いた9曲を収録。2002年の『ZERO album~ 歌姫2』に始まるカバーシリーズが2000年代に続々とリリースされたことを考えると、1994年のこの作品は大きな布石だったと言える。

12月のPARCO劇場でのライブは5日間に渡って開催された。『歌姫』に収録されたカバー曲をメインに「スローモーション」などを織り交ぜたこの公演は、中森のカバーにおける原点になっている。中森流の解釈による楽曲たちをじっくりと味わいたい。

文=田中隆信

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放送情報

M-ON! LIVE 中森明菜 「“UTAHIME” AKINA NAKAMORI PARCO THEATER LIVE」
放送日時:2021年3月21日(日)15:00~
チャンネル:MUSIC ON! TV(エムオン!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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