THE ALFEEの定番、夏の野外ライブ!35年前の貴重な野外ライブも

「THE ALFEE 10回目の夏 -SINCE 1991-」より
「THE ALFEE 10回目の夏 -SINCE 1991-」より

(C)2015 PONY CANYON INC.(C)Project Ⅲ

9月、10月、11月の3か月連続で、歌謡ポップスチャンネルにて、THE ALFEEが80年代から90年代にかけて開催した貴重な野外ライブの映像を厳選して放送される。
何しろTHE ALFEEといえば夏の大規模な野外ライブが定番となっており、最初にこの企画がスタートしたのは1982年8月6日の所沢航空記念公園。まだ「メリーアン」のヒットによるブレイクを果たす前のことであるが、この年から1年も欠かすことなくサマーイベントを継続してきた。近年はさいたまスーパーアリーナや横浜アリーナなど、野外に限定することなく開催されているが、昨年と今年はコロナ禍の影響もあり無観客での配信ライブとなった。

今回、歌謡ポップスチャンネルで放送されるのは、まず9月に1986年8月3日、東京湾13号埋立地で行われた「THE ALFEE 1986.8.3 SWEAT&TEARS TOKYO BAY-AREA」。当時としては単独ライブの観客動員数・約10万人を記録したスーパー・ステージである。当時、ライブバンドとして人気の高かったTHE ALFEEはコンサートがプラチナチケットと化し、熱心なファンでもなかなかライブを鑑賞することができなかった。そのため「客席数に縛られず、行きたい人は全員参加できる野外ライブ」が開催されたのである。現在までサマーイベントには欠かせない「SWEAT&TEARS」がこの時のテーマソングとなった。何しろまだフジテレビも大観覧車もなく、船の科学館だけがぽつんと佇む、お台場の荒涼とした風景を空撮で捉えた映像が圧巻。10万人が一斉に腕を振り上げコール&レスポンスする様も残されている。1曲目の高見沢俊彦のヴォーカルによる「See You Again」でスタート、「メリーアン」「STAR SHIP-光を求めて-」などヒット曲で押しまくる前半、「悲しき墓標」での高見沢のエモーショナルギター・ソロ、桜井賢の「祈り」から始まる、絶妙のハーモニー、そして炎と煙の荘厳な演出が美しい「Gate of Heaven」など、これでもかと押しまくる3人のパフォーマンスに圧倒される。終盤に歌われた「Rockdom-風に吹かれて-」はことのほか印象深い、とのちに高見沢は語っている。

「THE ALFEE 1986.8.3 SWEAT&TEARS TOKYO BAY-AREA」より
「THE ALFEE 1986.8.3 SWEAT&TEARS TOKYO BAY-AREA」より

(C)2015 PONY CANYON INC.(C)Project Ⅲ

10月放送の『10回目の夏-SINCE1991-』は、91年8月11日、COSMO OIL YOKOHAMA BAYでの公演。この時期、彼らはサマーイベントでほぼ毎回、違う会場を使用する形をとっており、またこれまでライブをやったことのない会場を使用するという革新的なスタイルをとってきた。この会場は、現在は横浜のコスモ石油の敷地内にあり、前年の会場であったみなとみらい21地区の対岸に位置する工場地帯のど真ん中。ライブ本編の前に、メンバー3人がそれぞれ、これまで行ってきた会場を訪れるシーンが挿入されている。坂崎幸之助は82年の所沢航空公園、高見沢は前述のTOKYO BAY AREA、桜井がみなとみらい。

ライブ本編は「FUNKY DOG!」で開幕し、ライブでしか見られない坂崎のハンドマイクスタイルで、客席に長く伸びたステージ先端へと走ってくる。それぞれピンク、グリーン、パープルのメタリックな衣装に身を包んだ3人は、無機質な工場地帯の風景の中でひときわ華やかで目立つ。中盤になると、バックの工場地帯の灯りが、まるで自然のセットであるかのように、近未来的な演出効果をもたらし、彼らの卓越したロケ地選びのセンスにも感嘆。湾岸地域独特の潮の香りが、画面のこちら側へも漂ってきそうだ。「メリーアン」「星空のディスタンス」「シンデレラは眠れない」と前半からヒット曲の連打で、「サファイアの瞳」では「真夜中のYOKOHAMA CITY RIGHTS」と歌いかえる粋な計らいも。途中から豪雨に見舞われ、出演者も観客もずぶぬれになってしまうが、盛り上がりはさらに増し、メンバーとファンの一体感が生まれている。ヒット曲はもちろん、現在まで人気の高い楽曲が多く歌われており、最近ファンになった人から長年のファンまで幅広く楽しめるセットリストになっていることも特徴。ことに中盤の「Rockdom-風に吹かれて-」は、アコースティックアレンジで披露。学生運動の時代の映像が挿入され、観客の大合唱が感動を呼ぶ。

「幻夜祭 Red&Blue Phantom Eve」より
「幻夜祭 Red&Blue Phantom Eve」より

(C)2015 PONY CANYON INC.(C)Project Ⅲ

そして11月放送のライブは1995年8月12日、13日の2日間に渡り、千葉ポートパークで開催された『幻夜祭 Red&Blue Phantom Eve』。初日はRed Phantom Eve、2日目はBlue Phantom Eveと名付けられ、両日で内容は異なっているが、アルバム『夢幻の果てに』のリリースに合わせたライブと会って、楽曲の中心はTHE ALFEEのプログレ・ラインの楽曲で固められている。乗りまくり、踊りまくるといった従来の彼らのライブとは異なり、緊張感溢れる「聴かせる野外ライブ」となった。このステージが初演奏となる、彼らのプログレ路線の名曲「悲劇受胎」は、2日間とも演奏されているが、両日で映像の演出が異なっているのが贅沢極まりない。このライブは両日とも観ないとその真価が伝わらない、実に貴重なコンサートであった。

今回、放送されるサマーイベントの映像は、THE ALFEEがかなり野心的に、新しい会場を探し続け、新たな野外ライブの可能性を模索していた時期のものばかりである。今ではすっかり様子を変えてしまった会場でもあり、もう二度とその場所で同じ体験はできない、一度きりの貴重な夏の記憶となっているのだ。この機会に全4本のライブを是非堪能したい。

文=馬飼野元宏+山下めぐ

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放送情報

「THE ALFEE 1986.8.3 SWEAT&TEARS TOKYO BAY-AREA」
放送日時:2021年9月25日(土)21:00~

「THE ALFEE 10回目の夏 -SINCE 1991-」
放送日時:2021年10月10日(日)19:00~

「幻夜祭 Red&Blue Phantom Eve」
放送日時:2021年11月予定

チャンネル:歌謡ポップスチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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