「独孤皇后」のチェン・シャオ、度重なるキスシーンが印象深い「夢華録」での上質なロマンス演技

一方、そんな国際派女優の相手役を務めたチェン・シャオは、数々の歴史ドラマで存在感を発揮。「月に咲く花の如く」(2017年)では生涯ヒロインを支え続ける魅力的な男性を、「独孤皇后～乱世に咲く花～」(2019年)では中国史上初めて"一夫一婦制"を貫いた隋の開国皇帝を演じるなど、"愛に一途な男性"というイメージが根強いイケメン俳優だ。実生活でも「神雕侠侶～天翔ける愛～」(2014年)で共演したミシェル・チェンと結婚、愛妻家としても広く知られている。

「夢華録」で演じる顧千帆というキャラクターは、宮廷の秘密警察のような"皇城司"という役職に就き、周囲から"生き閻魔"と恐れられている存在だ。にも関わらず、そんな彼に対して、真っすぐに信頼を寄せる趙盼児。顧千帆がなぜ自分を恐れないのかと問うと、「初めて会った時に助けてくれたから。あなたは優しい人」と趙盼児は言う。そのやり取りがきっかけになり、じれったい時間を乗り越えた2人の間では次第に甘い会話が交わされるようになっていく。

やがて顧千帆は、それまでの冷酷な態度が嘘のように、とろけるように甘い表情を見せ始める。ふたりの軽快なやり取りの一つ一つに愛情が溶け込み、度重なるキスが2人の時間を埋めていく。杭州や蘇州の観光名所で撮影され、絢爛豪華な衣装や装飾品に彩られた映像美が甘い時間に華を添える。

彼らの絡み合う視線には艶っぽさが自然と漂い、上質な大人のロマンスとしても楽しめる本作。中国のレビューサイト・Douban(豆瓣)でも驚異的な高得点を叩き出したというがそれも納得だ。中国ロマンス時代劇の新たな名作の誕生をぜひ見届けて欲しい。

文＝酒寄美智子

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