＜宇垣美里のときめくシネマ＞「トゥー・ウィークス・ノーティス」に「マディソン郡の橋」... 秋の夜長は人と人との出会いに夢を見る

■こういうのが見たかった！という気分を決して裏切らない

爆発も陰謀も殺人ももう要らない、今はもうただ心洗われるラブストーリーしか観たくないんだ！！！そんな風に感じる時がたまに訪れる。世知辛さよりは人が人と分かり合えた時の幸福を味わいたい、複雑怪奇な現実を直視するよりはちょっとばかりロマンチックな気分に浸りたい、そんな時が。季節の変わり目、一日ごとにコロコロ変わる気温に翻弄され、肌寒さに心細さを覚えるこの時期はまさにラブストーリーを摂取するにはうってつけ。みんな夏の疲れが出ているんじゃない？急な風の冷たさに物悲しさを覚えているんじゃない？そんな弱った体にお薬出しときます。この機会にぜひ観て欲しい、王道ラブストーリー作品群はきっとあなたの心にキュンとうっとりを届けてくれることでしょう。

サンドラ・ブロックとヒュー・グラント、ラブコメ映画常連な2人それぞれの「らしさ」が爆発した「トゥー・ウィークス・ノーティス」(2002年)は、これぞラブコメ！な魅力にあふれた王道作品。こういうのが見たかった！という気分を決して裏切らない。

市民運動に燃える弁護士のルーシー(ブロック)は、ニューヨークの歴史ある公民館を取り壊す計画を阻止すべく、不動産会社・ウェイド社を訪れる。彼女の度胸と頭の良さに惹かれたCEOのジョージ(グラント)は、公民館存続を条件に自分のもとで顧問弁護士として働かないかと提案。悩んだ末に提案を受け入れたルーシー、そこからジョージからの電話に翻弄される日々が始まる。

自分一人じゃスーツも決められないへたれなプレイボーイのジョージと、堅物で早口でまくし立てるように話すのになぜだかキュートなルーシーの関係性が、とにかく可愛いくてたまらない。ランチに行けばお互いの嫌いな食べ物を交換し合ったり、呆れながらも服を選んであげたり。そうした日々を積み重ねていくうちにいつしか自分にとってなくてはならない存在になっていく、そのことに気づいた時の胸の高鳴りといったら！この人の隣に立ちたいと背伸びし憧れる関係もいいけれど、肩の力が抜けたありのままの自分でいられる2人の関係に、こういうのが一番幸せそうで憧れるなあとうっとりした。

まさに割れ鍋に綴じ蓋、正反対な存在こそが自分を補完してくれるってわけ。不器用でずるくて不憫で可愛いヒュー・グラントの色気にくらくら必至な一方、あんなに美人なのにもかかわらず、どこか身近に感じられるサンドラ・ブロックのユーモラスな演技はさすがの一言。頭が良くて堅物、強そうに見えて実はとっても寂しがり屋な彼女に感情移入しちゃう女性は多いのではないだろうか。トランプ元大統領の登場にはちょっとぎょっとしてしまったけれど......。テンポよくエッジの効いた2人のジョークの応酬も必見。

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