宇垣美里のときめくシネマ>「トゥー・ウィークス・ノーティス」に「マディソン郡の橋」... 秋の夜長は人と人との出会いに夢を見る

会えばケンカばかりの商売敵の2人がいつしか恋に落ちていく「ユー・ガット・メール」
会えばケンカばかりの商売敵の2人がいつしか恋に落ちていく「ユー・ガット・メール」

(C) Warner Bros. Entertainment Inc.

ラブコメ映画の王道といえば「ユー・ガット・メール」(1998年)も外せない。トム・ハンクスとメグ・ライアン、これまた王道コンビのキラキラなラブコメ、寒くなってきたこの時期にぴったりの作品となっている。

母親の代から続く小さな書店を経営しているキャスリーン(ライアン)の日々の楽しみは、顔も知らない「NY152」と名乗る男性とのメールのやり取り。そんなある日、近くに大型書店がオープンし、彼女の店の売り上げはどんどん落ちていく。実はこの大型書店の経営者であるジョー(ハンクス)こそがメールの相手・NY152。そんなことは露知らず、キャスリーンはジョーと顔を合わす度に喧嘩ばかり。一方、メール相手のNY152にはどんどん心惹かれていくのであった。

「プライドと偏見」型とも言うべき、喧嘩の絶えない相手こそが実は一番自分のことを分かってくれる存在で......というストーリーはラブコメの王道中の王道。今の2倍はありそうなどでかいノートパソコンやそのメールのやり取りに時代は感じつつも、なかなか素直になれなかったり、相手を傷つけたことに自分も傷ついたりと揺れ動く大人の恋模様は普遍的。なによりもメグ・ライアンの可愛らしさといったら!メールを打つ瞬間も、そわそわとカフェで相手を待つ様子も、大切な場所を失った時ですら本を好きな人にためらいなく手を差しのべるその姿勢も、すべてが魅力的でもう首ったけになってしまった。一方のトム・ハンクスは傷ついた表情が天下一品。キャスリーンが勢いで放ってしまった言葉に傷つきながらも、自分が本当に好きなのは誰なのかに気づき、皮肉っぽい口調はそのままに少しずつ距離を詰めていく様子が愛おしい。ラストシーンで見せたどこかきまりが悪そうな笑顔に、思わず落涙。90年代のニューヨークの街並みが醸し出す雰囲気が、物語をよりいっそう盛り上げる。

クリント・イーストウッドが監督と主演を務め、燃えるような運命の恋を描いた「マディソン郡の橋」
クリント・イーストウッドが監督と主演を務め、燃えるような運命の恋を描いた「マディソン郡の橋」

(C) 1995 Warner Bros.

■こんな出会いがあったら、それはそれで素敵かも......

監督としても名高いクリント・イーストウッドと大女優のメリル・ストリープという豪華な布陣に圧倒されるのが「マディソン郡の橋」(1995年)。亡くなった母の遺品を整理していた兄妹は、母の隠された過去を知ることになる。平凡な主婦だった母のフランチェスカ(ストリープ)は、夫と2人の子どもが隣町へ出かけた4日間の間に、地元の珍しい橋を撮りに来たカメラマンのロバート(イーストウッド)と出会い、道案内をする。それは2人にとって生涯忘れられない、4日間の始まりだった。

たった4日間が人生のかけがえのない宝物になっていく過程が、2人の名優の説得力ある演技によって語られる。不倫、といえばそれまで。けれど、安定した幸せの中で出会ってしまった運命の人に激しく心惹かれてしまうその気持ち、分からないとも憧れないとも言えない。そんな目で見たことはなかったけれど、クリント・イーストウッドってめちゃくちゃセクシーでかっこいい......。あの日々を思い出せば私は生きていける、そう胸に秘めて決別を選ぶシーンの2人の表情は必見。

1か月という期間限定のせつない恋を描く「スウィート・ノベンバー」
1か月という期間限定のせつない恋を描く「スウィート・ノベンバー」

(C) Warner Bros. Entertainment Inc.

今回の特集では、ツヤツヤな若さにあふれたキアヌ・リーヴスとシャーリーズ・セロンの初々しい魅力炸裂な「スウィート・ノベンバー」(2001年)、傷ついた大人がもう一度愛を手に入れる過程が丁寧に描かれる「メッセージ・イン・ア・ボトル」(1999年)もおすすめ。

もちろん一人だって人生は満喫できるし、無限の可能性に満ちている。それを重々承知のうえで、こんな出会いがあったら、それはそれで素敵かも......と夢見るのは結構楽しい。秋の夜長はぜひ、ふかふかのブランケットとクッションを抱きしめて、ドーナツ片手に大人の恋に酔いしれよう。

ケヴィン・コスナー主演で、手紙入りの瓶から始まる悲恋を映し出す「メッセージ・イン・ア・ボトル」
ケヴィン・コスナー主演で、手紙入りの瓶から始まる悲恋を映し出す「メッセージ・イン・ア・ボトル」

(C) Warner Bros. Entertainment Inc.

文=宇垣美里

宇垣美里●1991年生まれ、兵庫県出身。2019年3月にTBSを退社、4月よりオスカープロモーションに所属。現在はフリーアナウンサー・俳優として、ドラマ、ラジオ、雑誌、CMのほか、執筆活動も行うなど幅広く活躍中。

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放送情報【スカパー!】

ユー・ガット・メール
放送日時:2023年11月3日(金・祝)3:45~、20日(月)21:00~

(吹)ユー・ガット・メール
放送日時:2023年11月2日(木)12:30~

トゥー・ウィークス・ノーティス
放送日時:2023年11月4日(土)8:00~、14日(火)14:45~

スウィート・ノベンバー
放送日時:2023年11月9日(木)10:15~、22日(水)21:00~

(吹)スウィート・ノベンバー
放送日時:2023年11月22日(水)12:30~

メッセージ・イン・ア・ボトル
放送日時:2023年11月21日(火)21:00~

マディソン郡の橋
放送日時:2023年11月23日(木・祝)23:00~

(吹)マディソン郡の橋
放送日時:2023年11月23日(木・祝)11:45~
チャンネル:ザ・シネマ

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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