宇垣美里のときめくシネマ>映画界の転換点にして革命! 「スパイダーマン:スパイダーバース」で目にした最先端

別次元から現れたスパイダーマンたちを元の世界に帰すべく、協力し合ってキングピンに挑む(「スパイダーマン:スパイダーバース」)
別次元から現れたスパイダーマンたちを元の世界に帰すべく、協力し合ってキングピンに挑む(「スパイダーマン:スパイダーバース」)

(c) 2018 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c) & TM 2019 MARVEL.

映画技術は日進月歩で進化しているとはいえ、その最先端を体感するどころか、むしろ先取りしているのでは?これは西暦2500年製作じゃないとおかしくないか?と思ってしまうほどの凄まじい技術に、何度観てもクラクラしてしまう。人類はここまでたどり着いたんだ......!と圧倒されること間違いなし。第91回アカデミー賞長編アニメーション賞に輝いたのも納得だ。

新たな別次元のスパイダーマンたちと出会い、強大な敵に立ち向かうことになる「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」
新たな別次元のスパイダーマンたちと出会い、強大な敵に立ち向かうことになる「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」

(c) 2023 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c) & TM 2023 MARVEL.

■並行世界の私はきっと歯を食いしばって頑張っている

なによりその作品から伝わってくる思いは何度観ても胸を打つ。あなたは決して独りではない、というメッセージは、まさしくマーベルの礎を築いたスタン・リーがずっと伝えてきたものだ。エンドロールには作品公開前に亡くなった彼への追悼文も挿入されており、こうやって彼の魂は作品の中でずっとずっと生き続けるんだと涙が止まらなかった。

どこまでいっても人はずうっとひとりぼっちで、伝えきれないその寂しさに時々くじけてしまいそうになることもある。けれど、その力の秘密を抱え、仮面を被って生きてきたスパイダーマンたちも他の次元に生きる仲間に出会えたように、私だって、並行世界の私がきっと歯を食いしばって頑張っていることを知っているから、ひとりじゃない。交わりもしない遠い世界で生きる彼女たちを裏切らないために、これからも頑張り続けるのだと、力が湧いた。

マイルスと親密になるグウェンが抱える喪失や孤独も描かれていく(「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」)
マイルスと親密になるグウェンが抱える喪失や孤独も描かれていく(「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」)

(c) 2023 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c) & TM 2023 MARVEL.

続く2作目となるのが「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」(2023年)。前作で技術の最先端を見せてくれたにもかかわらず、そのさらに先の先を描く圧倒的な世界観にはもうお手上げ。情報量も前作の100倍ほどになっており、脳の容量をかなり使うので、なにか甘いものなどエネルギー源を摂取してからの鑑賞を推奨する。

スパイダーマンを継承し、ヒーロー活動をこなしていたマイルスは、前作で共に戦った別次元のスパイダーマンであるグヴェンと再会し、様々な次元のスパイダーマンが集まる「スパイダー・ソサエティ」を訪れる。しかし、そこでスパイダーマンたちに運命づけられた悲しい定めを知ったマイルスは、そんな未来は受け入れたくないと運命に抗うことを決め、立ちはだかる無数のスパイダーマンたちと戦うことになる。

冒頭で広がるグウェンの生きる次元は淡い色合いの水彩画のようなタッチで描かれ、まるでアートのよう。一つ一つのシーンを切り取って額装して飾りたいと思うほどに美しく、その時点でもう、ただでさえ先進的だった前作からさらに飛躍的に進化していることを観客に見せつけてくる。次から次へと現れる様々なパターンの、バラバラの個性を持つスパイダーマンにわくわくしっぱなし。きっとあなたの好みにドンピシャのベスト・スパイダーマンに出会えること間違いなしだ。

スパイダー・ソサエティで、無数のスパイダーマンと出会ったマイルスだが、やがて全員と戦うことに...(「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」)
スパイダー・ソサエティで、無数のスパイダーマンと出会ったマイルスだが、やがて全員と戦うことに...(「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」)

(c) 2023 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c) & TM 2023 MARVEL.

3部作の2作目ということで、最高に盛り上がるタイミングでエンディングを迎える本作。続く3作目の公開がもう、待ちきれない!もちろん今回も第96回アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされている。日本時間では3月11日に行われるアカデミー賞の発表までにぜひ、時代の最先端の目撃者となれ。

文=宇垣美里

宇垣美里●1991年生まれ 兵庫県出身。2019年3月にTBSを退社、4月よりオスカープロモーションに所属。現在はフリーアナウンサー・俳優として、ドラマ、ラジオ、雑誌、CMのほか、執筆活動も行うなど幅広く活躍中。

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放送情報【スカパー!】

スパイダーマン:スパイダーバース
放送日時:2024年2月11日(日・祝)19:00~

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
放送日時:2024年2月11日(日・祝)21:00~、21日(水)14:15~
チャンネル:WOWOWシネマ

(吹)スパイダーマン:スパイダーバース
放送日時:2024年2月13日(火)19:15~、25日(日)20:00~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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