ソン・ジュンギの眼差しが冷徹で恐ろしい!「ヴィンチェンツォ」後に並々ならぬ気迫で臨んだ映画「このろくでもない世界で」

韓流・海外スター

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「このろくでもない世界で」 (C) 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.
「このろくでもない世界で」 (C) 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.

2008年にデビューして以降、品格あふれる佇まいと、どのようなジャンルでも目を引く確かな演技力で支持を集めているソン・ジュンギ。イタリアンマフィアの顧問弁護士を演じたドラマ「ヴィンチェンツォ」は国内外で大ヒットを博し、ファン層もさらに拡大。40代へと足を踏み入れる今年は、約2年ぶりのドラマ出演となる「MY YOUTH」でラブロマンスへの帰還を果たすなど、「こんなソン・ジュンギが見たかった!」というような代表作を更新し続けている。

そんなジュンギが並々ならぬ気迫で臨んだのが、映画「このろくでもない世界で」。7月20日(日)にWOWOWシネマで放送となる本作は、荒んだ毎日を送る少年と、その瞳に過去の自分を重ねた裏社会の男の運命が交錯するノワール映画だ。

舞台となるのは、ある地方の暴力が蔓延る町。継父のDVにおびえるヨンギュは、義妹ハヤンを守ろうと暴力沙汰を起こし、高校停学の上に示談金を求められる。厳しい現実に苦しむ彼の夢は、いつかオランダへ移住することだったが、その願いもむなしくバイトをクビになったヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー・チゴンの門戸を叩くことに。仕事という名の"盗み"を働き、少しずつチゴンに認められていくヨンギュだったが、ある日、組織の非情な掟に背いてしまう...。

ソン・ジュンギとホン・サビンが熱演を見せた「このろくでもない世界で」
ソン・ジュンギとホン・サビンが熱演を見せた「このろくでもない世界で」

(C) 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.

監督を務めたのは、長編デビュー作にして第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品を成し遂げたキム・チャンフン監督。本作の脚本は、生計を立てるためにモーテルでアルバイトをしながら、受付のカウンターで執筆したという。自らの思い通りにならない人生に重ねつつ、チャンフン監督が「積極的に行動することが、まったく予想できなかった結果になる悩みを盛り込んだ」と語る内容には生々しい心情が刻まれ、その脚本に惚れ込んだジュンギは出演を熱望。「韓国映画界に絶対に必要なプロジェクトだ」と確信したジュンギが、本作に気概と熱い意気込みを持ち込んだ。

ジュンギが演じたチゴンは、周囲を震え上がらせるような、冷徹で恐ろしい犯罪組織のリーダーだ。スラリとした体躯から繰り出される容赦ない暴力、ギロリとにらみつける眼差しなど、ジュンギは表情や声のトーンまで徹底的に変身させつつ、とんでもない凄みを放つ裏社会の男を演じ切った。

"クール"という言葉にはとても収まらないようなチゴンだが、ジュンギはオーラや目の奥から虚無感、そして哀愁を漂わせ、「これまでどのような人生を歩んできたのだろう...」と壮絶な過去を想像させるような魅力的なキャラクターを作り上げている。チゴンは体と心に大きな傷を負っているヨンギュと出会い、絶望を味わったかつての自分と重ね合わせていく。チゴンがアニキとしての表情を見せていく過程、2人の道が交錯したことが引き起こす運命まで、実に見応えがある。

ヨンギュを演じるのは、本作で映画初主演を務めたホン・サビン。6月20日から日本公開された「脱走」でも存在感を放つサビンが、どん底でもがくヨンギュの葛藤、痛々しいまでの心の叫びを鮮やかに体現。2人の他にも、芯の強いハヤンを"BIBI"として広く知られる人気シンガーのキム・ヒョンソが演じ、本作の演技で百想芸術大賞の新人演技賞に輝いた。韓国映画や俳優たちの、底知れぬエネルギーを感じられる1本だ。

文=成田おり枝

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放送情報【スカパー!】

このろくでもない世界で
放送日時:2025年7月20日(日)0:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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