そして今年公開された「ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」では新たな展開を迎えている。恋に仕事にと忙しい30代の独身OLだったブリジットだが、ついに50代に突入。子育てに仕事に大忙しなシングルマザーになった彼女の奮闘が描かれる。

前作でついにマークと結婚するも、スーダンでの人道支援中に命を落としてしまう。最愛の夫を失い、息子と娘を女手一つで育てている彼女の悩みは尽きない。悲しみに暮れながらも家族や親友たちの支えを得て、懸命に生きている。

そんなブリジットの前に、年下の魅力的な好青年ロクスターが現れ、息子の学校に新たに赴任してきた先生ウォーラカーにも好感を覚える。新たな恋の予感に、前向きな彼女の人生が再び動き出す。

年齢を重ねても自然体でポジティブ、感情豊かでチャーミングなゼルウィガーは、ブリジットそのもの。隣にはいないが、愛する亡き夫マークの存在をいつも感じている。苦悩や失敗は絶えなくても、愛する子どもたちを両手に抱きしめ、今を楽しみながら懸命に生きていく。そんな彼女のありのままの姿が、同じように時を経てそれぞれの人生を歩んできた観客たちの共感を得る。

ゼルウィガーだけでなく、シリーズの人気を支えるマーク役のファースが、役柄同様に温かな存在感を見せる。自分の人生をまた動かそうとするブリジットの心の中には彼がいる。2人が交わす視線に、これまでの深い絆や愛が伝わる。

また、ブリジットを永遠に惑わせる"懲りない男"ダニエル役のグラントが再登場するのも嬉しい。マークやダニエルはもちろん、親友たちとの変わらない懐かしいやりとりにも胸が熱くなる。

豪華キャストが再結集した最新作だけでなく、それぞれの年代や人生のフェーズに合わせて、世代を超えても楽しめる本シリーズ。情けなくてもかっこ悪くても失敗してもいい。大丈夫じゃない今さえもありのままに精一杯生きるブリジットに、肯定されているような気持ちになる。全世界の女性たちに高い共感を得てきた傑作シリーズを、完結までぜひ見届けてほしい。

文＝中川菜都美