(C)2018MBC
名を変えて別々に生きる2人の"現在"と、おぞましい事件当時の回想シーンが交互に描かれるサスペンスタッチの本作。根底に流れるのは、韓国中に知れ渡った残酷なサイコパスの息子として世間から非難され続ける宿命を淡々と受け止めてきたドジンの、深い孤独だ。
警察大学の面接でもその事実を隠さず、卒業式典では父に殺された被害者の遺族に胸ぐらを掴まれ暴言を吐かれてもただ帽子をとって謝罪の言葉を繰り返す。被害者遺族、そして加害者家族はどう扱われるべきかという重い問いを内包した本作で、ドジンの哀しいほどに正義感にあふれた愚直なキャラクターが胸を打つ。
そんなドジンを、ジェイことナグォンとの初恋の思い出が支えている。警察大学の休憩室、自動販売機の広告写真の中で微笑むジェイをいつまでも見つめ、遠くから彼女を守ることを心の中で静かに誓う。
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そんな2人の運命的な再会シーンも印象的だ。記者たちに過去の事件についてしつこく取材され、精神的に追い詰められて倒れたジェイを抱きかかえて医務室へと運んだドジンは、眠っているジェイに自分の上着をかけてやり、その寝顔に触れようとして、思いとどまる。そして、名乗ることもないままその場を去っていく。
唯一の心の支えであり続けたジェイが目の前にいるのに、その頬に触れることすらも律するドジン。触れたい、でもそれは許されない――過度な感情表現はなくとも、眼差しには絶えず、ジェイへの心苦しさとヒリヒリした痛みがにじみ出る。韓国では"眼光職人"とも呼ばれるギヨンならではの眼差しの演技が強烈だ。
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「2018 MBC演技大賞」の5冠に輝いたこの作品で優秀演技賞を受賞し、スター俳優へと駆け上がったギヨン。「ダイナマイト・キス」ともまた違う、彼の瑞々しくも鮮烈な演技を今改めて目に焼きつけたい。
文=酒寄美智子
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