「悪の花」で新境地を開拓したイ・ジュンギ、「無限の愛」を悟る名キスシーンに込めた想いとは?

イ・ジュンギ(「悪の花」)
イ・ジュンギ(「悪の花」)

Photo by Kim Daun(STUDIO DAUN)

女形芸人に扮した初期の代表作『王の男』(2005年)以来、数々の映画やドラマに出演してきたイ・ジュンギ。4月で40歳を迎える今もその麗しい美貌は健在で、こだわり抜いた作品選びによって毎回出演するたび、記憶に残る名キャラクターを誕生させている。

そんな強烈なカリスマ性を放つジュンギが、「クリミナル・マインド:KOREA」(2017年)「無法弁護士~最高のパートナー」(2018年)に続き、2年ぶりのドラマ主演を果たし、俳優としての新境地を開拓した作品が「悪の花」(2020年)だ。自分の感情がわからぬまま"愛を演じる男"を緊迫感たっぷりに演じ、「クリミナル・マインド:KOREA」(2017年)でも共演したムン・チェウォンと息の合った演技を見せ、本作では夫婦役に挑んでいる。

ホームドラマチャンネルにて3月22日(火)からの一挙放送を前に、ジュンギのインタビューをお届け。並々ならぬ役づくりへの意気込みや、撮影の舞台裏をたっぷりと語っている。

イ・ジュンギがこれまでにない表情を見せる「悪の花」
イ・ジュンギがこれまでにない表情を見せる「悪の花」

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION

――まずペク・ヒソン役について簡単にご紹介をお願いします。

「自分自身の残酷な過去を隠し、14年間身分を変えて、自分の人生を探そうと新しい家庭を築き、愛する妻さえ騙しながら、"愛さえ演じる男"ペク・ヒソンとして生きていくト・ヒョンス役です。16話の間、緊張感やスリルなど、ト・ヒョンスのストーリーを見ながら皆さんもありとあらゆる感情が生まれるのではないかと思いますし、そういうところに重きを置いて演じました」

――「悪の花」に出演を決めた理由は?

「簡単には決められませんでしたね。僕には合わない人物なのではないか?その人物の物語を描くにあたって、僕の人生や俳優としてのキャリアを考えた時に、まだこういう深い演技をするには若すぎるのでなないか?そんな気持ちもあって、かなり悩みましたし、負担も大きかったです。

ただ、多くの方々が説得してくださいました。監督と制作陣はもちろん、ムン・チェウォンさんも、応援の気持ちを込めた提案をしてくれました。ト・ヒョンスというキャラクターは、ドラマの中心となる役どころで、難しいだろうけれど、イ・ジュンギだからこそ可能であり、俳優としての幅も広げられる機会ではないかと。そうしている中で、スリラーと恋愛の2つの価値観がぶつかるところのあるとても不思議な作品だと思い、これは挑戦だ、もっと成長できる、と考えるようになりました。俳優としてのキャリアに挑戦したということだと思います。選択というよりは挑戦でした」

「悪の花」
「悪の花」

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION

――ペク・ヒソン、ト・ヒョンス、そして妻のジウォン。ジウォンとはどんな存在なのか、どんなふうに想像しながら演技していたのですか。

「ヒョンスにとっては『光』ですね。光のような存在であり、希望でもある。そして、彼女と作ってきた家庭が自分にとって生まれて初めて作った居場所である。その中で安らぎや温かさを感じながら生きてきたわけです。あまりに辛かった子供時代、冷遇され愛情を注いでもらえなかったヒョンスの欠如した部分を少しでも埋めてくれる、そんな居場所を一緒に作ることになるわけで、それはとても大切な人です。自分にとって命にも等しい存在だ、と。

でも、ヒョンスが感情というものを持つまでは『彼女が自分を守ってくれるんだ』『彼女がいることで自分の人生は守られ、保証されるんだ』...14年間そんなふうに考えて生きていました。だから唯一の希望だったんです。

そして感情を持ったあとは『光』になるんです。だから、本当に大切な人だと思っていたはずです。失うことはできない。それを守るために、自分の家庭、愛する娘と愛する妻を守るためなら、この家庭を守るためなら何だってできる。自分の人生を捨てて他人になりすましてまで作った、必死に守ってきた人生です。光であり、希望であり、人生なんです」

「悪の花」
「悪の花」

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION

――救いの存在なんですね。ジウォンがヒョンスにかけた言葉のなかで、ヒョンスの心、あるいはジュンギさん自身の心に響いた、心を動かされた台詞があれば教えてください。

「たくさんの台詞があり、たくさんの場面もありました。それでも1つ言えるとしたら、いつも人を遠ざけて、隠れて生きているト・ヒョンスにとって、初めて自分に興味をもち、愛情を表現してきたのが、ジウォンなんです。でもヒョンスはその感情が何なのか分からず違和感を覚えるばかりなのだけど、彼女の想いを初めて感じるのが、『あなたを愛し続ける』『幸せにするわ』と言ってキスをする。そのシーンがあって、自分が見ている幻影とか、脅迫観念のようなものとか、圧迫感のようなものがスーッと低くなっていく。

『あれ?どうして自分はこんなふうにリラックスしているんだ?この人は何なんだ?この人はどうして自分に対して何のてらいも、壁もなく自分を見てくれるのだろう』...そんな無限の愛。その愛を初めて感じるきっかけになる台詞(第5話。第1話冒頭にも回想で登場)だったと思います」

「悪の花」
「悪の花」

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION

――ヒョンスのように、自分でない誰か別の人間になって生きる人生をどう思いますか?そして、ジュンギさんはこれからの人生をどんなふうに生きていきたいのか気になります。

「僕の場合、『他人の人生を生きていくことが仕事だ』...こんなふうにシンプルに自分の仕事のためにしていることならば、僕にとっては幸せなことです。俳優イ・ジュンギにとって幸せなことだけど、僕がある状況に直面して自分を隠して生きていかなければならないとしたらどうだろうか?...時々こんなことを考えます。

よくない状況を避けるために、違う国だとか違う空間に行って、まさに逃避生活をするとしたら...?ヒョンスがそうですよね。果たしてリセットするように新しい人生に合わせて生きることができるんだろうか。そう考えると僕はとてもつらく感じると思います。

「悪の花」
「悪の花」

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION

もちろん人間は適応する動物だから、すぐに適応して、その社会の構成員になるとかその人生に合わせて生きていけるだろうけど、一番の根っこを作り上げている自分の居場所から逃げるように離れて、新たな人生を歩むということ。それは簡単なことではないと思うし、幸せではないと思う。結局は自分の根っこを取り戻しに、戻ってくるしかないと思います。

それはただ逃避した生活にすぎないのであって、ト・ヒョンスがしたように自分の人生を振り返って戻ってくる旅なんじゃないかな(笑)。簡単ではないし、そういう人生ではないほうがいいですよね。そんなふうには生きたくないし、本来のイ・ジュンギとして人生に正直に向き合いたいです」

「悪の花」
「悪の花」

(C) STUDIO DRAGON CORPORATION

文=HOMINIS編集部

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放送情報

悪の花
放送日時:2022年3月22日(火)15:15~
※毎週(火)(水)15:15~
クリミナル・マインド:KOREA
放送日時:2022年3月30日(水)7:00~
※毎週(月)~(金)7:00~
チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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