チャン・ルオユン人気が爆発！「慶余年」キャストが再集結したハイブリッドな痛快史劇

配信ドラマの隆盛もあり、近年、多様なジャンルが輩出されている中国ドラマ。中でもその傾向が顕著なのが、若手イケメンを主役に据えた新感覚の時代劇ジャンルだ。本格的なワイヤーアクションや胸キュンのロマンス要素に加え、転生といったファンタジックな世界観までもが盛り込まれた「慶余年」(2019年)の大ヒット以降、そうした"ハイブリッド型"の時代劇がますます勢いづいてきた感がある。

動画再生数82億回という桁外れの大反響を巻き起こした「慶余年」だが、その後、キャスト陣が同窓会さながらに集結した「贅婿［ぜいせい］～ムコ殿は天才策士～」も、そのフォーマットを継承。主人公の転生といった様々な共通項がありつつも、夫婦愛に織り交ぜられた痛快なサクセスストーリーが中毒性を生み、2021年の大ヒットへと繋がっていった。

「慶余年」「贅婿」はともに、中国の人気ネット小説のドラマ化作品。中でも「慶余年」は、原作もすでにダウンロード数2000万超というベストセラー。ドラマ版の人気も圧倒的で、中国の権威あるドラマ賞「白玉蘭奨」では最優秀脚色賞を受賞した。

「慶余年」で描かれるのは、現代の記憶を持ったまま戦乱の世に転生した青年・范閑(ファン・シエン)が織り成す壮大な歴史ドラマ。高官の隠し子として生まれ変わった范閑が、現代社会の知識をフル活用しながら、権力争いを制していく。

"見始めたら離脱不能"とまで言われた同作の見どころは、なんと言っても范閑のカッコよさ。決して弱みを見せず、戦闘能力もあって、とっさの機転もきく...そんな誰もが憧れるスーパーヒーローを人気俳優チャン・ルオユンが好演している。歴史上の人物の名言を引用して人々を説得し、権威にも怯むことなく立ち向かっていく様は実に爽快だ。

共演陣のキャスティングも絶妙だ。命を懸けて敵国への潜入任務に就く若手監査員・言氷雲を演じているのが、シャオ・ジャン。アイドルグループ出身ならではの美しいビジュアルが注目を集め、アジア中に一大センセーショナルを巻き起こした「陳情令」の主演俳優だ。

調略やアクション要素が強く、どちらかというと男性向けの原作に対し、ドラマ版では女性人気の高いシャオ・ジャンをキャスティング。「シャオ・ジャン目当てで見始めたら面白かった」という女性ファンの声が後押しし、原作人気を越えた幅広い支持層を獲得していった。

そんな「慶余年」のキャストが多数出演しているのが、2021年のドラマ「贅婿［ぜいせい］～ムコ殿は天才策士～」。"贅婿"とは婿養子のことで、現代の凄腕ビジネスマンから転生した商魂たくましき主人公・寧毅(ニン・イー)が、妻・蘇檀児(スー・タンアル)と力を合わせて困難を乗り越えていく痛快なサクセスストーリーだ。

あっけらかんとして愛嬌たっぷりの寧毅が、割引やフランチャイズ制度といった現代知識をフル活用して商売敵を追い込み、ライバルを傘下に収めていく。まさにビジネス版「慶余年」といった趣きで、寧毅が知略を駆使しながらのし上がっていく様は小気味よく、スカッとさせられる。

主人公・寧毅に扮するのは、「慶余年」の主人公・范閑が転生する一家のオトボケ息子を演じていた人気芸人グオ・チーリン。また、その姉、范若若役のソン・イーが、本作では妻の檀児役に。「慶余年」の姉弟が一転、「贅婿」では可愛らしく賢い夫婦へと"転生"したこともあり、キャスティング当初から大いに話題を集めることとなった。

さらに「贅婿」の第1話には、「慶余年」の范閑ことチャン・ルオユンも特別出演。そんな心憎いキャスティングのみならず、ファンなら思わずニヤリとさせられる類似点もまた、「贅婿」の随所に散りばめられている。

2作に共通するのは、様々なジャンルの魅力を兼ね備えた"ハイブリッド型"のエンタテインメントであること。笑えて泣けて、ハラハラのあとにスカッとできて...と、ドラマの楽しみがギュッと凝縮されている。独特の美学と味わいがある中国時代劇だが、その入門編としても最適な娯楽大作と言えそうだ。

文＝酒寄美智子

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