ハン・ソヒやハン・ジミンとの「ケミ」が反響を呼ぶパク・ヒョンシク、男同士のバディものが評価されるワケとは？

恋と友情との狭間で揺れ動く男女の関係を、美しい音楽と共に紡ぎ出したドラマ「サウンドトラック #1」が注目を集めたパク・ヒョンシク。「わかっていても」の人気女優ハン・ソヒとの息の合った"ケミ"も絶妙で、そのロマンティックな空気感に魅了された人も多かったはず。今年5月には劇場未公開だった2017年の短編映画『二つの光』が日本で初公開され、ハン・ジミン演じるヒロインとの繊細で美しいラブストーリーも話題を呼んだばかりだ。

2021年1月に兵役を終えた後、除隊復帰作となった「ハピネス」や「サウンドトラック #1」で早くも多彩な表情を見せているヒョンシクだが、入隊前に出演した代表作と言えば、チャン・ドンゴンと"バディ"を組んだドラマ「SUITS/スーツ～運命の選択～」(2018年)だ。

英国のヘンリー王子の妻"メーガン妃"ことメーガン・マークルがかつて出演し、その後シーズン9まで制作されたオリジナル版は、アメリカをはじめ世界各国で高い評価を集めた海外ドラマ。織田裕二＆中島裕翔(Hey！Say！JUMP)のコンビで日本リメイクされたことでも、よく知られている大ヒットシリーズだ。

韓国リメイクとなる今作は、大手法律事務所のカン＆ハムを代表するエース弁護士チェ・ガンソク(チャン・ドンゴン)と、驚異的な記憶力を持つ青年コ・ヨヌ(パク・ヒョンシク)がコンビを組み、知略を巡らしながら様々な難局を切り抜けていくスタイリッシュなサクセスストーリー。初放送当時、チャン・ドンゴンの6年ぶりとなったドラマ出演が大いに話題を呼んだが、ヒョンシク演じる相棒コ・ヨヌのキャラクターも強烈な印象を残した。

まず目を引くのは、第1話の初登場シーンから異彩を放つヨヌの特殊能力。財閥2世がいる酒席に呼び出され、パーカーを羽織ったラフな雰囲気でふらりと現れたヨヌが、難しい理論をよどみなく早口ですらすら暗唱し、横柄で嫌味な財閥2世をギャフンと言わせる姿は圧巻。ここで視聴者の心を一気に掴み、ヨヌという人物像にグッと惹きつけるドラマとしての作りも見事だ。

その後も、ヨヌが膨大な法律用語を暗唱する場面がたびたび登場する。表情を変えず、目を泳がせることもなく諳んじるヒョンシクの姿は、まさに天才といった様相。これほどの膨大なセリフをすべて暗記し、飄々とした演技に臨んでいる彼の能力の高さ、そして努力の凄まじさを思わずにはいられない。

だが、ヨヌの魅力はそれだけではない。「花郎＜ファラン＞」(2016年)での凛とした新羅第24代王・真興王や、映画『8番目の男』(2019年)での真実を追求する"8人目"の陪審員・ナムなど、これまでヒョンシクが命を吹き込んできたキャラクターにはまるでスポットライトが当てられているような存在感が漂うが、それはヨヌも同様だ。

ヨヌの輝く存在感の源泉は、ヒョンシクが放つ強い眼差しにある。例えば、第2話では、お金がなくて弁護士資格を取得できなかったヨヌが「弁護士になりたい」という思いを吐露するシーンがある。麻薬の運び屋まがいにまで落ちた現状を「間違った選択の結果」だと話すヨヌ。確固たる地位を築き上げた成功者のガンソクに、「もし機会を与えたら過ちを挽回できるか？」と迫られても、視線をそらすことなく「できます。(根拠は)切実さです。挽回したい思いは誰にも負けません」ときっぱり口にする。

崖っぷちのヨヌが死に物狂いで最後のチャンスにしがみつき、負け犬同然の人生から這い上がっていく――彼の強い眼差しにその予感が感じられるからこそ、これから始まるガンソクとのバディに、期待が高まるのだ。

長身のガンソクとヨヌがスーツを着こなす姿もたまらなく魅力的。「弁護士にとってスーツは鎧(よろい)だ」と上等なスーツを正統派に着こなすガンソクと、スーツにスニーカーを合わせて自転車に飛び乗る我流ファッションのヨヌの対比も、2人の関係性が現れているようで抜群にハマっている。

ガンソク同様、韓流トップスターとして大成功を収めたチャン・ドンゴンを相手に、真っ向から挑み、負けず劣らずの存在感を発揮したヒョンシク。除隊復帰後もますますの活躍ぶりが期待できそうなだけに、今作で描かれるサクセスストーリーの興奮を再び味わってみてはいかがだろうか。

文＝酒寄美智子

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