「今からショータイム」も話題の遅咲きの女優チン・ギジュ、転機となった「殺人鬼から逃げる夜」への挑戦

ギジュが演じるのは、カスタマーサポートセンターにお客様センターで手話部門を担当する母親思いの女性・ギョンミ。耳が不自由という難しい役柄ながら、学校に2ヶ月通ってマスターしたという手話を自然に操り、説得力のある演技を見せている。また助けを伝えられないもどかしい表情から、闇の中から出現する犯人に驚くリアクションといった些細な行動まで、その端々にリアリティが感じられる。

脚力と知恵を振りしぼってなんとか生き延びようとする強い意志を全身に漲らせ、言いようのない恐怖と直面することになったヒロインの胸中を浮かび上がらせる演技は、見応え十分だ。

そんなギョンミをどこまでも追いかけるサイコな殺人鬼・ドシクに扮しているのが、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年)や「イカゲーム」(2021年)のウィ・ハジュン。小綺麗なスーツ姿のイケメンかと思えば、実は殺人鬼だった...というドシクの2面性は、「シャイニング」(1980年)のジャック・ニコルソンや「チェイサー」(2008年)のハ・ジョンウ、「悪魔を見た」(2010年)のチェ・ミンシクを参考にして作られたという。不適な笑みや何を考えているのか分からない無表情さは、一度見ただけで頭に焼き付いて離れないインパクトを放っている。

本作で見事な演技を見せたギジュは、「賢い医師生活」シリーズで知られるチョ・ジョンソク主演の新作映画「幸せの国」への出演も噂されており、スクリーンでの活躍もますます期待できそうな予感。知性溢れる独特の魅力で存在感を放つ彼女が、今後どのような多彩な一面を見せてくれるのか、実に楽しみだ。

文＝HOMINIS編集部

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