多田野曜平が『戦略大作戦』吹替追録版でケリー二等兵を担当!「イーストウッドを吹替えるなんて、微塵も思っていなかった(笑)」

クリント・イーストウッド主演の戦争アクション・コメディ『戦略大作戦』(1970年制作)は、邪道な戦争映画でありながら、錚々たる作品が並ぶイギリスのテレビ局選出の「史上最高の戦争映画」で34位に選出された一作品。

今なお多くの戦争映画ファンに支持され続け、「プライベート・ライアン」の"戦略オマージュ"をはじめ、後続の戦争映画に多大なる影響を与えた作品であり。戦争真只中、勝利でも栄誉でもなく「金塊」のために敵地に乗り込む男達が描かれている。ムービープラスでは、1977年フジテレビのゴールデン洋画劇場での放送時にカットされていた約40分の映像に新たに音声を収録し、ノーカット版として日本初放送される。

追録の主な吹替キャストは、故・山田康雄が亡き後イーストウッドの吹替を数多く担当する多田野曜平、イーサン・ホークなどの人気声優の吹替でおなじみの咲野俊介、2022年の第16回声優アワードで、外国映画・ドラマ賞を受賞した楠大典など豪華出演者が集結!そして、セガールの吹替や「ルパン三世」で二代目次元も務めている人気声優大塚明夫が、父である故・大塚周夫の追録を担当することにも注目だ。

今回は、クリント・イーストウッド演じるケリー二等兵の吹替を担当する多田野曜平にインタビューを敢行。作品で新発見したことや、旧吹替版の声優に対する思いやなどを語ってもらった。

クリント・イーストウッドの吹替を担当する多田野曜平
ケリー二等兵の吹替を担当する多田野曜平

――まずは『戦略大作戦』(1970年)を改めてご覧になって、いかがでしたか?

「子どもの頃から何度も観ている作品なんですが、今回は観る前にクリント・イーストウッドさんの本を読んでみたんです。彼がこの映画のオファーを受けたきっかけは色々あるそうなんですが、脚本に"反戦"のムードが漂っていて、アクションとのバランスがとれた良い脚本だったんだ、と書かれていました。それで、監督は(『マンハッタン無宿』でタッグを組んだ)ドン・シーゲルさんになると思ってオファーを受けたそうなんですが、実際には監督も違ったし映画自体も金塊ド派手なアクション映画になっていたから、気に入らなかったらしいんです。だから、本作を"反戦映画だと思って"改めて観てみたら、それはまた面白かったですね。特に第二次大戦中という背景を考えたら、オッドボール(ドナルド・サザーランド/声:宍戸錠)なんて、要するにヒッピーですもんね。実際にあんな人たちがいたのかどうか違和感はあったんだけど、なるほどそういうことなんだ!と思いました」

――今回、実際に追加録音をされてみて、大変だったり難しかったところはありましたか?

「私はアゴが長いからどうしても喉が圧迫されてしまうので、なるべく顔を上げて、喉元を開放したんです。自宅で試してみたときに思いついたんですが、こっちのほうが似てるような気がして。今回はモニターの位置が低かったので椅子に座らせていただいて、それにマイクの角度も合わせて下から見上げるように収録する、というのを試させていただきました。以前にもイーストウッドの吹替で一度試したことがあるんですが、今回は初めて座って本格的にやってみました。出来のほうがどうだったかは...まだ僕は確認してません!(笑)」

――本作におけるクリント・イーストウッドは他の作品と違って、欲深い、でも何を考えているか分かりづらい、主人公らしからぬキャラクターですが、演じる上で他作品のイーストウッドとアプローチや演じ方を変えた点はありますか?

「すみません、まったく変えてないです!僕は、山田康雄さんの追加収録ということ呼んでいただいているから、今回のイーストウッドがどうこうというよりも、『僕らの脳内に認識されている、山田さんが吹き替えたクリント・イーストウッドというキャラクター』を演じる、ということばっかり考えているんですよね。だから『運び屋』(2018年)の時みたいに歳をとっていようが、西部劇であろうが、『ダーティハリー』みたいに刑事を演じていようが、そういうことを考えたことがないんですよ。山田さんのウィットに富んだ、シニカルなところもあるイーストウッドというキャラクターに、どうやって近づけて真似してやろうか...って、そればっかり考えていますね」

――1977年にフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」で放送された日本語吹替版で同じ役(ケリーニ等兵/クリント・イーストウッド)を演じられた山田康雄さんに対する、役者としてのお気持ちをお聞かせください

「一言で言えば、『越えられない大先輩』。だけど、ちょっとでも近づきたい...。僕は70年代に小中高を過ごしたんです。だから同世代の人はみんな同じだと思うけれど、テレビで毎日のように吹替の洋画が放送されていて、いろんな役で山田康雄さんの声を聴いてきたので、意識するかしないかに関わらず刷り込まれているんです。でも、それで声優になったわけじゃないんです。なんとなく『特別な声を持っている人しか声優にはなれない』と思っていて、そもそも自分は映画俳優になろうと思って東京に出てきたんです。だけれどいろんな縁があって、たまたま山田康雄さんがいる劇団に入っただけなんです。だから自分が声優になるとも、ましてやクリント・イーストウッドを吹き替えることになるなんて、微塵も思っていなかった(笑)。でも、たまたま声質が似ていて、たまたま同じ劇団っていう縁もあって(追録を)やらせてもらっているから、それはもう恐れ多いです...。だから『劇団の大先輩』ですね」

――最後に『戦略大作戦』の注目してほしいポイントを教えてください

「僕らは(テレビ放送用に)カットされている『戦略大作戦』しか観たことがなかったんですよね。山田康雄さんの吹替が入っていないソフトは買う気にならなかったし。だから僕も今回、初めてノーカット版を観たんです。でも僕と同じように楽しみにしている人、相当いるんじゃないかなあ。本作を知らなかった方たちにも、ぜひ観てもらいたいです」

文=HOMINIS編集部

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放送情報

『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル
放送日時:2023年9月10日(日) 21:00~ ※9月18日(月・祝日)再放送あり
チャンネル:ムービープラス
※放送スケジュールは変更となる場合があります

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