――名人戦はすごく視聴率が高いですが、視聴者を意識されて打たれることもありますか?
「最初からそういう意識はありましたね。何を切るかは視聴者のことを考えることがあります。普通の人はこれ切るけど、私はこっちを切る、だから、少し間を置いて考えてもらったりね。ある程度考えていることを見せてあげてることも大事かなと思います。ノータイムでパッと切っちゃったら、視聴者も考える余裕がなくなってしまいますからね。だから、こういう風に魅せた方がいいじゃないかとか、多分あの人はこうしてほしいだろうなとか、そのぐらいは考えてます」
――真剣勝負の中でも、余裕がある感じがします
「少しは余裕がないとダメかなと思います。僕はプロである以上、見てくれている人にも納得してもらえるくらいの余裕は持ちたいと思っています。もちろんスピーディーに打つこともありますけど、自分がただ一生懸命やってるだけというのはないようにしています」
――苦手だなと思う選手はいますか?
「苦手な人はいないんですけど、ツイてる人は嫌ですね。どうしようもできない(笑)。強い弱い関係ないですね。それでも、ツイている人がミスをすることもあって。『今日、この人はツイてるからこのままリーチだな』ってタイミングで役を鳴いてくれるとホッとしますね」
――逆に、自分がその運を持ってくるように意識されていることはありますか?
「私の場合は、どうやって大きな運を持ってくるかを考えてみて...まずは振り込まないとか、相手に鳴かせないとか考えながらゲームを作っていくんです。上手くいけばゲームを作れるけど、反対に自分がやったことが裏目に出ることもあります。ただ『私は大きな波を捕まえられるぞ』っていう自信はあります。トップを獲れる自信はあるので、ダメな時に負けないようにしておけばカバーできるかなと思います。なかなか上手くいかないんですけどね...」
――視聴者に対局を魅せる上で、意識している所作とかはありますか?
「所作と言うのかな、マナーが良くて、良い麻雀を打てるのが一番でしょうが、牌捌きが衰えているのが気にはなります。なかなか静かに打てないし、まあ、元気にビシッと打ちたいですね」
――これからプロを目指す方に一言アドバイスをお願いします!
「これを言うと嫌われてしまうんですが...安易な気持ちでプロを目指さないでください。麻雀を覚えて半年くらいの人に『今度、プロテストを受けるんです』って言われたことがあって、『頑張ってください』としか言えなかったのですけど、プロはそんなに簡単じゃないんですよ...」
――今の麻雀界の現状について感じられていることや、課題などあれば教えてください
「今の麻雀界ははっきり言ってバブル時代のようですよね。僕は日本プロ麻雀連盟の会長なので、地に足のついた活動をしっかりやっていくこと、プロ雀士の選手を育てていくことを大切にしています。そして、チャンピオンのレベルをいかに落とさないようにするかも大事にしています。今は人気優先みたいな風潮になっていますが、麻雀力をしっかりつけて強くなれば、仕事にもつながると思っています。連盟会長として『麻雀力を落とさないようにしなさい』と今後もしっかり指導していきたいですね」
文=HOMINIS編集部
放送情報
モンド麻雀プロリーグ22/23 第17回名人戦
放送日時:2023年9月12日(火) 23:00~全16話シリーズ
チャンネル:MONDO TV
※放送スケジュールは変更となる場合があります
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