松山ケンイチが出演する映画『大名倒産』が6月23日(金)に公開される。同作は浅田次郎の時代小説を実写映画化した"人生逆転エンターテインメント"。父親から徳川家康の血を引く大名の跡継ぎだと知らされ、越後丹生山藩・第十三代藩主となる青年・松平小四郎(神木隆之介)が借金を返済するために、リサイクルやSDGsなどの節約を駆使して藩を救う姿を描いている。
松山が演じているのは、神木隆之介演じる小四郎の兄・松平新次郎。周囲からはうつけ者と蔑まれているが、庭造りに関しては才能を持ち合わせたキャラクターだ。そんな特徴的な役を松山はどのように演じたのか。今回は松山にインタビューを行い、役への向き合い方から普段から仲が良いという主演の神木との関係性まで語ってもらった。
――時代劇でありながらも節約をみんなで頑張るという設定が新鮮ですよね。まずは作品のテーマをどのように受け止めていますか?
「節約って1人で取り組むことはできると思うんですけど、ここまで大きなコミュニティになってしまうとすごく難しいなと思いますし、そこで『戦』という表現を使っているのも確かにそうだなと納得しました。結局大きなコミュニティの中で節約するというのは、自分を守るための手段でもあると思うんですよ。やっぱりいろんな人との繋がりを持たなければいけないし、繋がりを作る努力をしなきゃいけない。それは自分が幸せになるための節約ではあるんですけど、最終的には自分と繋がった人も幸せにならなければ、自分が幸せになれないじゃないですか。小四郎がやろうとしてるビジネスは、いろんな人と関係を持ちながら救済もしているというのが、ものすごく理想的なビジネスの体制だなと思いましたね」
――松平新次郎を演じる上でどのようなことを意識されましたか?
「新次郎は今で言うと何かしら特性を持った人なんです。でも、この当時は普通の環境の中で普通の人として暮らしていて、それが特別なものではないという認識があると思うんです。そんな新次郎の無垢さをどうにか表現したいなと思って、近くにいた監督を真っ先に参考にさせていただきました。というのも、前田哲という監督がすごく純粋無垢な人なので、新次郎のピュアでまっすぐな部分を表現するためにはお手本にすべき人物だと感じたんです。監督とは僕が20代前半からのお付き合いなんですけど、その中で感じてきたことをそのまま監督の前でやって出来上がったのが新次郎です。あとは、無垢で居続けることって、子供のときは可愛いとかってなりますけど、大人になるとそれが通用しなくなるというか、受け入れられなくなってしまうようなところがあるじゃないですか。その無垢さをどうしたら上手く表現できるかというところを意識しました」
――具体的に監督のどういうところが無垢だなと感じられたんですか?
「あまり表には出てこないと思うんですけど、色々な監督の作品を見ていると、音楽の使い方が少し変わっていて、そこに監督の無垢な部分が現れていると思っているんです。他にも、どんな映画が好きという話を監督が振られたときに、他の監督さんはその人にしかわからないようなマニアックな作品を上げていく中で、前田監督は『ジョーズ』って答えたらしいんですよ。ジョーズというとみんなが恐怖の対象とする存在じゃないですか。観客の目線を持ち合わせているという意味で無垢だなと感じますね」
――無垢さを演技に落とし込む際に意識しすぎると不自然になってくるものなのだと思うのですが、それを自然体に演じる上で意識したことはありますか?
「やっぱり目の前に純粋無垢な方がいるというのは1番大きいですよね。あとは、意外と周りを見渡すと無垢な人って意外といるんですよ。僕はたまたまそういう人たちとの出会いが多かったので、自分で作るというよりは自然と作り上げていきました」
――普段から松山さんは他人を参考に役を作り上げていくことが多いのでしょうか?
「それがほとんどですね。だからこそ、いろんな人と出会っていろんな発見をすることが大事なんですよ。自分の中だけで理論を組み立てて作り上げるというのはあまりにも思考が狭いと思うんです。なので、色々な人と出会って自分の世界を広げていくことで知見を広げていくことは意識しています」
公開情報
映画『大名倒産』
2023年6月23日(金)公開
監督:前田哲
脚本:丑尾健太郎 稲葉一広
出演:神木隆之介 杉咲花 松山ケンイチ 小日向文世 小手伸也 桜田通 宮﨑あおい 浅野忠信 佐藤浩市
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/daimyo-tosan/
© 2023映画「大名倒産」製作委員会
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