――他のキャラクターありきの役作りというのは、大変そうですね。
「実は衣装合わせの時も、梨田はすぐに決まるんです。『梨田が着てそうだよね。このTシャツ』とか『これ梨田っぽい!』って。でも、浜中は全然決まらなくて、『長ズボンですかね...?』とか言いながら、監督も私もみんな手探りで浜中を探していました。そういったところから、『梨田がこうだから、浜中は...』という感じで少しずつ構築していきました」
――演じる上で意識したところは?
「普段の芝居だと、自分の中でプランを立てて、現場で『こんな感じはどうですか』という感じで提案しながらセッションしていくみたいな感じなんですけど、浜中に関しては『プラン立てていくと、"やってる感じ"が出ちゃうな』と思いまして。梨田と浜中ならではの歯切れよく勢いのあるしゃべり方を、彼女たちにとっては意図せずに自然に出てくるものなのでナチュラルに話しながら、他の役者さんとは芝居のテイストが違っていて異質に見えるというところでのさじ加減に関して2人共すごく意識しました」
――うらじさんと互いの役柄についてディスカッションなどされたのですか?
「本読みで監督含め3人で、物語や各キャラクターについての背景や想いの部分はディスカッションしました。そこで方向性だけ共有してそれ以外は、お互いに役者の視点で何か言い合うようなことは無かったです。実は、撮影初日の1シーン目が街中で踊るシーンで、しかも完全アドリブだったんです。そこで、言葉なく動きだけで梨田と浜中が通じ合うことによって、うらじさんと互いの温度や空気で(役柄を)感じ合って、"そうでしかなかったから、そうなっていった"という感じで自然とつかみ合えたんです。半ばドキュメンタリーのような気持ちでした。完成した作品を観ても、よくある『もっとこうすれば良かった』『こうできていたら...』というようなこともなくて、『ああでしかなかったもんね。むしろもう一回あれをやってと言われたら困る』というくらいで。私だけではなく、うらじさんも同じように感じていたらしいのですが、すごく不思議な他にはない特別な経験をさせていただきました。その空気が生まれたのは監督のおかげで、監督が誰よりも涙を流しながら一番のファンのような状態で感極まりながら撮ってくれていたからなんです」
映画情報
映画「炎上する君」
2023年8月4日(金)公開
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