関西政財界の大物の遺産の中で最も高額な絵画を巡って、親族間で争いが繰り広げられる初回2時間スペシャル。糸村が目をつけた遺留品は、絵の具入れの中に大事にしまってあったスプーンだった。「なぜ、こんなところにスプーンが?」という疑問から始まるのだが、いつものことながら佐倉や同僚の刑事・神崎莉緒(栗山千明)は興味を示さず、糸村は独自に捜査を進めていくことに...。本シーズンでも、マドラーやお手玉、アロマキャンドルなどさまざまな遺留品が糸村のアンテナに引っかかり、聞き込みなど徹底的に掘り下げて捜査を進めていく。
映画の撮影中に起きた殺人事件の謎に迫っていく第8話では、遺留品のお手玉を自分で分解してしまい、村木を驚かせる。一度気になったら、そのことしか頭にないのではないかと思わせる程の単独行動に出る糸村だが、決めセリフの「3分でいいから、僕に時間をくださいませんか?」と語り出す場面では、糸村が遺留品から事件に関わる人たちの心理まで読みとっていたことがわかる。
■上川と甲本の人気コンビが2人きりで一緒に登山をする回も
京都府警・科学捜査研究室の村木繁(甲本雅裕)と糸村は、本作の人気コンビ。遺留品を持ち込まれ、村木がうまく丸め込まれるやり取りは本作での癒やしポイントだ。
第2話では、糸村がパペット人形を持ってきたことに呆れて村木は鑑定を断るものの、「大丈夫。村木さん、本当は頼れる人だから」と人形に話しかける糸村に根負け。コミカルなやりとりが毎回のように繰り広げられる。
本シーズンでは、糸村と村木が2人で登山するシーンから始まるレアな回も。いつもとは違うアウトドアな格好をしている糸村が新鮮だが、中にはなぜかスーツを着ていて、やはり常人ではないと思わせられる。事件がきっかけで知り合った女性に恋心を抱く村木の挙動不審な様子もチャーミングで、基本、平常心を崩さない糸村と村木の絆を感じさせる場面も登場する。
多くの作品に出演し、シリアスな役柄を演じる時には別人のような重厚な演技を見せる上川だが、マイペースな糸村刑事を演じた「遺留捜査」シリーズは俳優人生の代表作と言えるだろう。過去のストーリーも振り返りながら、長年愛され続ける糸村を演じる上川の演技を楽しんでほしい。
文=山本弘子
放送情報
遺留捜査(2021) #1
放送日時:2023年8月11日(金)9:40~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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