宝塚歌劇月組公演「グレート・ギャツビー」は、アメリカの作家フィッツジェラルドの代表作をミュージカル化した舞台だ。「エリザベート」などで知られる小池修一郎が脚本・演出を手がける。1991年に雪組で初演されて好評を博し、2008年に月組でも再演された。原作の世界観にタカラヅカらしさも加味して、見応えのある一本物となっている。
主人公ギャツビーを演じるのは、月組トップスターの月城かなと。かつてフィッツジェラルド自身の生涯を描いた「THE LAST PARTY ~S.Fitzgerald's last day~」(2018年)でも主演している月城だけに、大きな期待が寄せられた配役であった。
月城演じるギャツビーは、真っ直ぐで、潔い。裏社会を生きながらも「麻薬には絶対に手を出さない」といった矜持もある。一途にデイジーに想いを寄せ続ける姿はいじらしくさえある。だが、光は闇の中でこそ強い輝きを放つもの。月城ギャツビーの放つ光は、闇の部分がしっかり構築されているからこその眩しさである。
ギャツビーの永遠の女性、デイジーを演じるのは、トップ娘役の海乃美月。ギャツビーとの出会いから、2人が引き裂かれていく過程までが描かれているのがタカラヅカ版の特色である。そして、原作ではギャツビーの憧れの象徴に過ぎないデイジーに強い意思が与えられているのも感じられる。
デイジーの夫、トム(鳳月杏)は、血筋と財力とを兼ね備え、日々スポーツで体も鍛えている「全てを持った男」。ギャツビーの嫉妬の対象となるに十分な存在である。ギャツビーの恋敵としてのトムの存在感の大きさも、今回の再演における特筆すべき点のひとつだろう。
放送情報
グレート・ギャツビー('22年月組・東京・千秋楽)
放送日時: 2023年9月3日(日)21:00~ほか
チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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