有村架純中村倫也の息の合った掛け合いが爽快なドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」

(C)TBSスパークル/TBS

主人公の1人、石子こと石田硝子を演じたのは有村。真面目で何事もコツコツ積み上げていき、石のように頭が固い。東大法学部を首席で卒業したものの司法試験に4回落ちており、周りには強がりを言っているが、本当は次も落ちるのが怖くて諦めていた。現状の自分にコンプレックスを抱きながらパラリーガルとして父親が営むマチベン・潮法律事務所に勤め、経理も担当している。2010年に女優デビューした有村は、可憐なイメージを活かし多彩な活躍を見せてきた。映画「花束みたいな恋をした」(2021年)で恋のきらめきと切なさを体現し、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。 2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」では悪女と知られる徳川家康の正室・瀬名を癒しの聖女として好演した。今作で演じる石子は、癒し系とは程遠い。早口で厳しく捲し立て、お人好し過ぎる父親に呆れ、めちゃくちゃな羽根岡に振り回されて困惑。眉間に皺を寄せ、怒りを露わにし、舌打ちまでする。弁護士資格は持たないものの、困っている人の心に寄り添い、真っ直ぐ全力を尽くす。コロコロと変わる表情や不器用さがチャーミングだ。誰かのために毅然と振る舞う姿は凛として美しい。これまでとは雰囲気の異なる生真面目で堅物なパラリーガルもナチュラルに演じた。

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もう1人の主人公・羽根岡佳男には、中村が起用された。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年)ではゆるふわ男子・正人で人気を博し、"マアくん"ロス現象まで起こした中村。「凪のお暇」(2019年)では天性の人たらしのモテ男を体現した。ワンシチュエーションコメディの舞台「OUT OF ORDER」も11月からの公演を控えている。舞台に映画やドラマと活躍を続ける中村が、一見"できる"弁護士・羽根岡を演じた。羽根岡は羽のように軽やかな性格から羽男と自称する、一風変わった男。写真のように見たモノを記憶する「フォトグラフィックメモリー」の持ち主で、司法試験予備試験と司法試験に1回で合格している。しかし、実際は対応能力に欠けていて想定外のことが起こると思考回路が停止してしまう。弁護士としては致命的とも言える欠点を隠すため、型破りな天才弁護士をブランディングしている。自分がすべき行動や発言をメモし、石子の厳しいツッコミに動揺するなど可愛らしい一面も見せる。その一方で、難しい法律用語を使う長台詞も澱みなく高速で語る。滑舌の良さと声の質が存分に活かされた、"できる"弁護士のシーンは圧巻だ。緩急自在な演技で、カメレオン俳優の本領を発揮した。

有村と中村のほかにも、注目のキャストが出演。法律事務所に依頼人としてやってくる青年で物語に新たな展開を生み出すキーパーソン・大庭蒼生は、赤楚衛二が爽やかに演じた。赤楚のほか、さだまさし、おいでやす小田、MEGUMIなど多彩なキャストと各話のゲストも物語を盛り上げる。主人公の石羽コンビは互いにこじらせたコンプレックスを抱えながら、凸凹をうまく補い合っていく。有村と中村の息の合った掛け合いも爽快だ。身近な問題を解決するために奮闘し、次第に良きバディへと変わっていく2人。悩みやトラウマ、心の弱さにもそっと傘を差し出してくれる、温かな優しさが見えた。

文=中川菜都美

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放送情報【スカパー!】

石子と羽男-そんなコトで訴えます?-
放送日時:11月5日(日)11:00~
放送チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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