竹野内豊が演じる型破りな裁判官の人間味溢れる魅力にハマる!映画「イチケイのカラス」

(C)2023浅見理都/講談社・映画「イチケイのカラス」製作委員会

貨物船が航路から外れていたこと、イージス艦の航海日誌が紛失されていることに入間は疑問を抱き、職権を発動する。しかし、裁判官室を訪れた鵜城防衛大臣は「貨物船の船員たちが朝まで酒盛りをしていて体調不良を起こしていた」と主張し、暗に圧力をかけられ、入間は裁判長を交代させられてしまう。シビアな局面においてもいつも飄々としていて、笑みを浮かべ、ジョークを飛ばす入間だが、今回ばかりは「それ、やっちゃいけないでしょ?」と、1人になった時には悔しさと怒りを滲ませる。一連のシリーズで一度も見せたことがない行動が事件の闇の深さを想像させ、同時に竹野内の演技が入間の人間味、裁判官として譲れない正義を浮き彫りにする。

そして、もちろん、いつものチャーミングな入間も健在だ。人権派弁護士の月本(斎藤)とバディを組んで日尾美町の経済を握る工場の汚染問題に熱心に取り組んでいる坂間が、帰るところがなくなり入間の家に泊まりに来ることに。坂間が思わず弱音を吐き、「聞かなかったことにしてください」と言うと、入間の不自然ないびきが聞こえてくるのも微笑ましい。

■坂間らしい恋心を黒木華が表現しているのも新鮮ポイント

東京・イチケイの部長裁判官・駒沢(小日向文世)の教え子であり、やや強引ながらも行動力のある月本に徐々に惹かれていく坂間の恋が描かれているのも今までになかった要素だ。健康被害が出ているにも関わらず、工場の問題に町の人々が沈黙する状況が底知れない何かを感じさせるだけに坂間の女性らしさが垣間見えるシーンは重々しい空気に風を送りこむ役割を果たしている。海で遊んでいるように見えて諦めていない入間も、人力で汚染土を見つけ出そうとする坂間もそれぞれが危険を顧みず、真実へと迫っていく後半まで謎解きにドキドキ。見る側が思わず自分の人生に重ねてしまう法廷での名言やパフォーマンスも含め、竹野内の魅力溢れる演技に惹きつけられずにいられない。

文=山本弘子

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放送情報

映画 イチケイのカラス
放送日時:2023年11月11日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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