「タツ」こと巽総太郎刑事(舘ひろし)は、犯人を追う際に愛車のハーレーダビッドソンをノーヘルで乗り回す「昭和過ぎる」ワイルドな男。彼もサングラスを常時着用し、黒革のジャンパーに身を包み、リーゼントヘアと咥えタバコがよく似合う。味のあるベテラン俳優としてコミカルな役もこなす舘だが、当時はバリバリに尖がったアウトロー気質の俳優だった。悪を憎む気持ちは大門に負けないタツは、犯人に対しては容赦なく鉄槌を下す。いつかは自身の軍団、巽軍団を作ることを夢見ている。第16話でミスを犯して大門から謹慎処分を申し渡される姿が印象深い。
「リキさん」の愛称で呼ばれた松田猛刑事(寺尾聰)も印象深い。S&WM2944マグナムによる射撃の腕前が自慢で、スナイパーとしては大門と双璧。爆発物処理の専門家でもある。レイバン・ウィナーのサングラスを愛用し、スーツやトレンチコートも着こなすスタイリッシュな刑事だった。ちなみに当初の設定では、「タケ」の愛称だったが、寺尾自身の発案で「リキ」に変わったそうだ。ほかにも苅谷俊介演じる源田浩史刑事は、「気は優しくて力持ち」的な愛すべき脇役としてリリーズを支えた。さらに初期のレギュラーだった兼子仁刑事(五代高之)は、大門軍団中最年少。大門から鉄拳制裁を受けたり、犯人に捕らえられて麻薬中毒にされてしまうなど、散々な目に遇っていたが魅力的なキャラクターだった。
「燃える、飛ぶ、爆発する!」のキャッチフレーズで、大門軍団が凶悪犯罪に立ち向かう「西部警察」は、現在では考えられないシーンが満載。制作費も莫大な金額に上ったが、石原プロモーションがテレビ朝日と直接契約を結ぶなど、画期的な手法で制作費用を捻出したと言われる。爆破シーンだけでなく、当時だから放送できた過激かつ大胆なシーンばかりなので、今の視聴者にとっては刺激的な場面の連続。銀座、新宿、渋谷などの都心部でド派手なカーチェイスや銃撃戦をするのが売り物だったが、反対車線を暴走する映像など、今見ると「いったい、これをどうやって撮ったのだろう」と驚く。石原裕次郎、渡哲也、舘ひろし、寺尾聰ら名優たちが織りなす「撃ちまくり、壊しまくる」アクション刑事ドラマの頂点として、レジェンドになった作品は一見の価値ありだ。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー】
西部警察 #1~3
放送日時:2月3日(日)19:30~
放送チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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