江口のりこの演技力・表現力が光る、ドラマ「お母さんが一緒」

(C)松竹ブロードキャスティング

この点が最も如実に現れているのは、江口のりこ演じる長女の弥生だろう。折に触れて「お母さんがそう言ったから」と前置きつつ小言や愚痴を並べ立てる彼女の姿からは、弥生の人生に大きな影を落としている母親の姿が浮かび上がってくるかのようだ。つまり江口は長女の弥生を演じつつ、弥生の人生に大きな影を落としている"母親"という存在さえも同時に演じていると言える。独特なクセの強さに加え、アラフォー独身女性の悲哀を絶妙に表現しているシーンも印象的だ。

次女・愛美を演じる内田慈は原作となる舞台版にも次女役で出演しており、今回も同じ役を務めた。元々は舞台を中心に活動し、その後は映画やドラマにも活躍の場を広げた彼女だけに、相手が江口であろうとも濃度の高い罵り合戦をやってのけている。本編後のアナザーストーリーは愛美が主役となっており、そちらでは本編とは少し毛色の違う愛美の姿を繊細に演じていることも見逃せない。

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三女の清美を演じるのは、2021年にブレークし個性派として注目される古川琴音。清美は姉たちの口ゲンカを一歩引いて見ている常識人かと思いきや、彼女も単なる可愛い末っ子ではない。達観したかのような古川のたたずまいからは姉たちを反面教師にする清美の強かさが感じられ、やがて彼女も曲者な二人の姉とがっちりかみあって三つ巴の姉妹バトルを展開する。密かに結婚報告を計画するなどサプライズの多いキャラクターでもあり、物語後半で見せる底力も注目ポイントだ。

原作が女の実態を描くものであるだけに、三姉妹がぶつけ合う不平不満の数々はなかなかにリアルで身につまされるものが多い。本作では温泉宿での一夜の出来事を描いているが、溜め込んだものを吐き出した江口、内田、古川が演じる三姉妹に救いの朝が訪れるのかは、ぜひ本編で確かめてもらいたい。

文=本永真里奈

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放送情報【スカパー】

お母さんが一緒
放送日時:2月18日(日)22:00~
放送チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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