米倉涼子が演じる悪女に魅了される!サスペンスドラマ「松本清張 強き蟻」

「松本清張 強き蟻」に出演する米倉涼子
「松本清張 強き蟻」に出演する米倉涼子

(C)テレビ東京

松本清張が1971年に発表した同名小説の映像化となる本作で米倉が演じているのは、野心家の美女・伊佐子。冬でもゴージャスなファーコートの下はノースリーブとハイヒールという華やかなスタイルを貫き通すなど、ファッションからも意志の強さを感じさせる女性だ。そんな伊佐子を米倉は、セリフ回しや表情の演技で、周囲の人間に「ノー」と言わせない伊佐子の押しの強さを表現している。

沢田との遺産目的の結婚生活のかたわら、塩月や石井という愛人たちとの密会も欠かさない伊佐子。夫との生活では得られない潤いを求め、彼らに癒やしを求めたのだろうと考えてしまいがちだが、米倉が作り出した伊佐子は、愛人たちの前でも、どこか心を許していない雰囲気を滲ませる。甘えた声でおねだりするも、その瞳から放たれる圧は強く、「私の望みは絶対」という女王様的な存在感で周囲の男たちを支配していくのだ。

伊佐子が10億円の遺産にこだわるのは、再び普茶料理の店を開くという夢のため。「パパ」と呼ぶ塩月と店舗として狙っている物件を訪れた時は、遺産を元手に開業するための計画を瞳を輝かせながら語る。その一方で、佐伯に同じ場所で夢を語った際には、「やっと君という人がわかったよ」と、伊佐子の行動原理が「家族が欲しかった」「一家団らんに憧れている」「だから、1人の夜が怖いのだ」と見抜かれてしまう。そのシーンでの米倉は、非常に複雑かつ繊細な伊佐子の内面を顔の傾きや視線で見事に表現してみせた。

家政婦のサキや、沢田の自叙伝執筆のために雇われた速記者・宮原素子(比嘉愛未)との、女としてのプライドをかけたマウント合戦など、いたるところで火花が散るサスペンスドラマに仕上がっている本作。今や「悪女役といえば米倉涼子」と誰もが思うほどの存在感の米倉が作り上げた伊佐子という悪女が放つ魅力に、ぜひ溺れてみてほしい。

文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

松本清張 強き蟻
放送情報:2024年2月14日(水)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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