焼け跡から男性の焼死体が出てきたことにより、目黒東警察署の鶴賀英明(三宅裕司)と亀石幹生(庄野崎謙)が捜査にあたる。サツキは、火事の夜に一緒に飲んでいた人物は宝田で、彼が一方的に悠子に思いを寄せていたという話を刑事たちに話す。一方、焼死体が宝田であることが判明し、悠子との不倫関係が疑われる中、鶴賀はサツキが2階に寝ていた歩を助け出した時の手際の良さに引っ掛かりを覚える。サツキの身元を照会したところ、本名が「浜畑里子」で、夫の誠二は山で遭難し亡くなったという事実が判明する。果たして里子が偽名を使って悠子の家で働いていた狙いは何なのか。彼女の抱えている、あまりにも辛く悲しい思いとは...。
本作で若村が演じるのは、ミステリアスな家政婦・サツキ。長く美しい黒髪をひとつにまとめ、素顔かと思うほどのナチュラルメイクと白いシャツ姿で働く姿は、まさに清楚のひとことだ。寂しがり屋ゆえに、息子がいるにも関わらず、自分のことでいっぱいいっぱいになっている悠子を住み込みで支える家政婦という役柄を、控えめながらも印象的に演じている。
物語が進むにつれ、悠子の家に潜り込んだ理由や、そのきっかけとなる過去が明かされていくサツキ。彼女が抱えている悲しみの深さが明らかになるに連れ、若村が、感情が読み取れないように演じていた瞳の奥には、絶望と復讐の炎が静かに揺らめいていたことに気づかされるだろう。
サツキこと里子が、その人生で最大の決断を下すシーンでみせる若村の表情は、すべてのしがらみから解き放たれたような、神々しい輝きすら放っている。彼女がその境地に至るまでの過程を若村が卓越した演技力で積み重ねてきたからこそ、観る者は里子に感情移入し、その運命に涙するのだ。
悠子役の南野陽子、刑事役の三宅裕司ら、実力派俳優陣と若村の演技合戦も見どころの本作。切なくも奥深い人間ドラマの結末をを、若村の熱演に注目しながら見届けてほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
夏樹静子サスペンス 跳びおりる
放送情報:2024年3月27日(水)10:30~
チャンネル:フジテレビTWO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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