正義感に燃え、額に汗して走り回る、実に暑苦しい刑事がそこにいた。「きのう何食べた?」でシロさんにデレデレのケンジと同じ役者が演じているとは...頭では理解していてもどうにも信じがたいほどにかけ離れている。
内野が演じた釜本は数々の難事件を解決し、現場の刑事としての経験も豊富、聞き込みや取り調べもお手の物。そんなベテラン刑事だが、ひとたび家に帰れば、妻に逃げられ、父親の介護もおぼつかない、何もデキない男なのだ。そんな人間らしい一面も違和感なくすっと入って来るから、さすがとしか言いようがない。また「若いころはゴンゾウと呼ばれていた」というセリフもあり、内野主演の連続ドラマ「ゴンゾウ 伝説の刑事」(2008年)へのリスペクトか、にくい演出がされているのもツボだ(ただし内野が演じた役名が違うので同一人物ではない)。
共演には平田満、利重剛、吹越満、細田善彦、石橋蓮司など、一癖も二癖もある名うての役者陣が並び、それをもろともせず軽々と引っ張っていく内野。彼らが織りなす重厚な芝居の応酬、そして二転三転するストーリーとこだわりの映像、すべてにおいて見応えたっぷり、胸を熱くさせる骨太な刑事ドラマに仕上がっている。
文=石塚ともか
放送情報【スカパー!】
ドラマスペシャル ヘヤチョウ
放送日時:4月3日(水)10:50~
放送チャンネル:テレ朝チャンネル1
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