筒井真理子光石研磯村勇斗が、映画「波紋」で見せるリアルな人間社会の闇

「かもめ食堂」(2006年)「彼らが本気で編むときは、」(2017年)などで知られる荻上直子監督が、現代社会が抱える問題に翻弄される中年女性とその家族を描いた「波紋」(2023年)。物語は、東日本大震災で水道汚染の風評被害が流れるニュースを家族が見ているシーンからスタート。寝たきりの義父の介護を一人でする主婦を横目に手伝わない夫が前触れもなく失踪。息子と三人暮らしを始めるが自分ではどうにもできない辛苦が降りかかり、いつしか新興宗教にのめり込んでいく...。

飄々とした演技を見せる磯村勇斗
飄々とした演技を見せる磯村勇斗

(C)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

そんな荻上監督のブラックユーモアがふんだんに詰まった絶望エンターテイメントをリアルかつユーモラスにしたのは、主演の筒井真理子、光石研、磯村勇斗ら実力派俳優たち。

一見、どこにでもいそうな平凡な主婦・依子を演じるのは筒井真理子。自分の中で沸き起こる黒い感情に悩む姿を見事に体現している。中でも、新興宗教を信じることで解脱したようなアルカイックスマイルを見せたり、息子が連れてきた恋人が聴覚障害者で年上であることに差別感情を抑えられない取り繕った笑顔で対応するシーンなどで見せる、感情を押し殺した表情はそこはかとない恐怖を与える。そしてそんな彼女はジワジワ追い詰められ、感情を隠しきれなくなり、ついに雨の中、喪服姿でフラメンコを踊り狂う。そんな狂気満載のラストシーンの姿に圧倒され、筒井真理子のワンマンショーに魅了される。

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放送情報【スカパー!】

波紋(2023)
放送日時:3月28日(木)16:30~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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