月組公演「DEATH TAKES A HOLIDAY」は、ミュージカルの楽しさを存分に堪能できる、見応えたっぷりの作品だ。2011年にオフ・ブロードウェイで初演され、タカラヅカでの上演においては潤色・演出を生田大和が手がける。
モーリー・イェストンのちょっぴり物悲しい感じの楽曲が、独特な雰囲気を醸し出す。主人公だけではなく様々な登場人物に楽曲があり、聴かせどころがふんだんにあるのも嬉しい。
ストーリーにおいては第一次世界大戦が重要な出来事として前提にある。プラスしてスペイン風邪のことも盛り込まれているのが、コロナ禍を思い出させ、現代風だ。たくさんの死者が出たから「死神」も忙しくて仕方がなかった、少しは休みが欲しい...というわけだ。こうして、人間の姿で「休暇」を取りにきた死神が、人間の女性であるグラツィアに恋をしてしまうところから物語は始まる。
死神が人間に恋をしてしてしまうという設定はミュージカル「エリザベート」に似ている。だが、「死神を主人公にした話をアメリカで作るとこうなるのか」という底抜けの明るさが、前半にはある。
その「死神」を演じるのが、月組トップスターの月城かなとだ。いきなり見目麗しいロシアの皇子ニコライ・サーキの姿を借りて登場してしまうところも月城ならではの見せ場だが、人間の生活のことを何もわかっていない死神と周りの人たちとの若干ずれた会話、その中でのおとぼけぶりでコメディセンスを発揮する。
放送情報【スカパー!】
DEATH TAKES A HOLIDAY('23年月組・東急シアターオーブ)
放送日時:6月2日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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