月組トップスター・月城かなとが演じる死神に引き込まれる作品、「DEATH TAKES A HOLIDAY」

海乃美月
海乃美月

Book by Thomas Meehan and Peter Stone / Music and Lyrics by Maury Yeston Based on the dramatic play by Alberto Casella and rewritten for the American stage by Walter Ferris and originally produced by the Messrs. Shubert ⒞宝塚歌劇団  ⒞宝塚クリエイティブアーツ

だが、一転して後半では「人間」を愛してしまったが故に苦悶する。死神に愛されてしまうグラツィア(海乃美月)は、ただのお嬢様ではない、強い意志と鋭敏な感性を持つ「選ばれし」女性であることが伝わってくる。グラツィアの父・ヴィットリオ(風間柚乃)は、前半は死神と家族の板挟みになって混乱する姿をユーモラスにみせるが、後半は父親としての揺るぎない愛を滲ませる。

ダリオ(英真なおき)とエバンジェリーナ(彩みちる)の深い絆は「愛に年は関係ない」ということを教えてくれる存在だ。さらに、アリスを演じる白河りりが、一見、遊んでいる女性のようでいて実はそれだけではない、というキャラクターで新境地を見せる。

この作品の途中までのメインテーマは「生きることの素晴らしさ」のようだ。それはとても胸に迫るものがあり、これから嫌なことがあった時はこの作品のことを思い出して、朝が迎えられることに感謝しよう!と思うほどだった。
 
また、この作品のもう一つのテーマは「愛こそが全て」である。死神の「休暇」には終わりがあり、いずれ元に戻らなくてはならない。そうなった場合、考えうる結末は2つだ。「死神がグラツィアを生かす。そして自分はひとりで元の世界に戻る」のか? あるいは「グラツィアが死神について行く。つまりグラツィアが「死」を選ぶ」のか? 
 
月城かなと演じる死神と海乃美月演じるグラツィアの二人がどちらの選択をするのかはギリギリまでわからない。果たしてどんな結末を迎えるか?それは見てのお楽しみ、である。

文=中本千晶

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放送情報【スカパー!】

DEATH TAKES A HOLIDAY('23年月組・東急シアターオーブ)
放送日時:6月2日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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