阿部サダヲが主演、宮藤官九郎が脚本を担当したドラマ「不適切にもほどがある!」。今年1月に放送された"ふてほど"は大いに人気を博し、唯一無二のオリジナルストーリーと実力派たちの演技が支持を集め、第119回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で脚本賞をはじめ計6部門で受賞。主演の阿部は第50回放送文化基金賞ドラマ部門演技賞も受賞するなど高く評価された。
宮藤の脚本に阿部の演技、抜群の面白さを生み出すこのコンビがヒットの要因であることは間違いない。宮藤が脚本を手掛けた「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)、「木更津キャッツアイ」(2002年)、「タイガー&ドラゴン」(2005年)などの名作ドラマに限らず、2人が所属する大人計画の舞台はもちろんのこと、映画でも2007年のヒット作「舞妓Haaaan!!!」など2人の相性の良さが際立っていた。
数々のクドカン作品に出演し、輝きを放ってきた阿部だが、2009年の主演映画「なくもんか」では、究極にお人好しな主人公の祐太を生き生きと演じている。本作は、前述の「舞妓Haaaan!!!」と同じ水田伸生監督と脚本・宮藤、主演・阿部の布陣で3人が再び集結した異色の人情コメディ。共演には、永山瑛太、竹内結子、塚本高史、皆川猿時、光石研、伊原剛志、いしだあゆみなど実力派が脇を固め、生き別れた兄弟の波乱の運命を綴る。
幼い頃、自分勝手に生きる父親に捨てられ、互いの顔も知らないまま育った2人の兄弟。兄の祐太は下町の総菜店夫婦に育てられ、今では後を継いだ店を人気店に成長させた。一方、弟の祐介は笑われることを処世術にして育ち、やがて赤の他人である大介と兄弟を装ってお笑いコンビ"金城ブラザーズ"を結成。お笑い芸人として成功し、売れっ子になっていた。そんなある日、祐太はテレビに映る祐介が生き別れた弟であることに気付く...。
阿部が演じた祐太は、8歳の時に両親が離婚。預けられた先の総菜店夫婦になんとなく可愛がられ、働くバカと呼ばれるほど懸命に働くうちに、総菜店"デリカの山ちゃん"の2代目を任される。彼の人柄も手伝って店は行列のできる人気店になるが、複雑な生い立ちが彼の人となりを形成。"ふてほど"の小川市郎とは大きく異なるキャラクターとなっている。
祐太は、「好きでやってる」が口癖で底抜けに人が良い。明るく朗らかで誰にでも優しく、頼み事を断ったことがないという究極の八方美人だ。泥棒の息子という後ろめたさやよそ者という意識からか、可愛がってくれた商店街の人々へ恩返しとばかりに自らを捧げる。そのパワフルでハイテンションな生き様は、道化にも似た悲哀を感じさせ、辛い境遇にも笑顔で耐え抜いてきた姿が涙を誘う。
放送情報【スカパー!】
なくもんか
放送日時:2024年7月13日(土)13:10~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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