綾野剛＆齋藤潤の見事な化学反応！映画「カラオケ行こ！」で表現した絶妙な関係性と成長

キャスト陣にも個性あふれるメンバーが顔そろえている本作だが、なんといっても交流を深めていくヤクザの狂児を演じた綾野、変声期に悩んでいる中学合唱部の部長・聡実を演じた齋藤の相性が抜群だ。狂児は自分の組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける、恐怖の罰ゲームを回避するために「歌が上手くなりたい」と思っている男。聡実に教えを請おうとする狂児は「カラオケ行こ」と誘い、カラオケボックスで自身の事情を説明するのだが、ノリノリでトークを繰り広げつつ、X JAPANの「紅」を熱唱する狂児に対して、戸惑いながらも冷静に突っ込む聡実という、2人の噛み合わなさがなんとも言えぬ笑いを誘う。

彼らが次第に距離を近づけていく中では、恐怖を感じた聡実が思わず狂児の腕にしがみついてしまったり、狂児が聡実の肩をやさしく抱き寄せたりと、お互いに好意を持っていることが2人の一挙手一投足からこちらにも伝わってくるのが、またスゴい。綾野と齋藤が、ナチュラルな演技でありながら、しっかりと狂児＆聡実の絶妙な関係性を心地よいものとして見る者に送り届けてくれる。

彼らの関係性にまぶしさを感じつつ、聡実の熱唱シーンも思春期のその瞬間にしかない輝きをすばらしく映し出しており、実写映画としての魅力を噛み締める場面となっている。役者とキャラクターの成長が奇跡のように重なり合った1作としてもオススメしたい。

文＝成田おり枝

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